2023.05.08

ホーム最終節の大一番でB2降格が決定した新潟…失意の中で来シーズンの捲土重来を誓う

勝利を目指してリングに向かった新潟の杉本 [写真]=鳴神富一
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

 5月6日、アオーレ長岡(新潟県)で行われた、B1リーグ戦の59試合目。B1残留をかけた争いの中、勝利することが絶対条件となっていた新潟アルビレックスBBは、同じ北信越のライバルでもある信州ブレイブウォリアーズを迎え撃った。「まるでプレーオフのような大声援と雰囲気でした」と、信州の勝久マイケルヘッドコーチが試合後の会見でコメントしたとおり、両チームのファン・ブースターが3000人以上集結し、素晴らしい雰囲気の中で戦いの幕が切って落とされた。

 8人のロスターで試合に臨んだ信州が試合開始直後から猛攻を見せ、プレッシャーのかかった新潟からゲームの主導権を握っていく。特に前田怜緒が気持ちを全面に出したプレーで新潟ディフェンスを翻弄していった。第1クォーターで2ケタにリードを広げていくと、第2クォーターに入っても流れは変わらず、前半で17点リードを奪った。

 窮地に立たされた新潟だったが、後半に入ると次第にリズムを取り戻す。特にこの日ゲームハイの18得点をあげた杉本天昇が得意のアウトサイドシュートで応戦。新潟ブースターのボルテージと共鳴して信州を追い上げていく。第3クォーター終盤には4点差まで追い上げた新潟だったが、この場面でアンスポーツマンライクファールとターンオーバーにより、11点ものビハインドを背負ってしまった。

 最終的にはその時間帯での攻防が最後まで響き、62-71と敗戰。bjリーグの創設メンバーであり、過去にはレギュラーシーズン地区優勝を果たすなど結果を残してきた強豪クラブのB2降格が決まった。

 試合後、コート上に選手・スタッフが整列する中、新潟の川上明代表取締役社長があいさつ。

「B2降格という結果になったことに対して、日頃から応援してくれている全ての皆さまの期待にこたえられず、クラブを代表してお詫び申し上げます。今日のこの想いを忘れずに、ここからまた上を目指してやっていきたい。まだまだ至らない部分はあるかもしれないが、ここにいる選手たちやクラブの全員は今シーズンやりきったという想いがあって、悔いはありません。皆さまにお約束したいのは1年でB1のステージに戻ってこられるように、全員で力を合わせていきたい」

 あいさつの最中、会場からは時より大きな拍手や「新潟、がんばろう」という声援が響きわたる場面があった。

 試合後、記者会見に対応したヘンリー新潟のコナー・ヘンリーヘッドコーチは「シーズン最後で残留のチャンスがあった中、B2降格が決まってしまったのは、本当にチームとしても組織としても残念です」と口火を切ると、「4連勝できてはいましたが、懸念していたゲームの入りでスロースタートになってしまい、リードを奪われたのが今日の敗因です」と試合について言及した。

 さらに「この2週間、本当にチームとしてコミュニケーションが取れていて、良いチームになっているという実感が自分やチームとしてあったので、この結果は残念に思っています。シーズン通して勝利をたくさんあげられなかったのは、自分の責任です。本当に今シーズンの若い選手たちは本当にハードワークしてくれて、コーチ選手と戦い抜けた戦うことができたっていうことは本当に自分としても幸せなことですし、選手のことを誇りに思います」と選手たちをねぎらった。

記者会見で選手たちをねぎらったコナーHC [写真]=鳴神富一


 また、会見に応じた杉本は、自分の気持ちを絞り出すように言葉を発した。「今日は絶対に負けられない状況で、追い上げたものの詰めが甘く、結果的に負けてB2降格になってしまいました。正直、ちょっと具体的な言葉が上手く出てきません。試合の入りが課題でしたが、スロースタートになってしまって。相手の抑えるべきポイントの準備をしてきたましが、大事な一戦でみんながやはり硬くなってしまったのはあると思います」と悔やんだ。

 シーズン序盤での指揮官交代や、軸となる外国籍選手のケガによる長期離脱など、苦しい状況が続いて失意のB2降格となってしまった新潟。シーズン終盤での4連勝などチームとして光が見えてきた部分もあったのは事実。その光を来シーズンも照らすことができるのか⁉ B1復帰を目指す戦いはすでに始まっている。

文・写真=鳴神富一

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