2020.10.05

群馬クレインサンダーズが茨城ロボッツに連勝…マイケル・パーカーは初戦でダブルダブル達成

13回目の日本での開幕戦でマイケル・パーカーはダブルダブルを達成 [写真]=B.LEAGUE
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激戦が予想されるB2注目の開幕戦

「今シーズンはこれまで以上にB2が面白い!」

 開幕前から多くの解説者やメディアがこのワードを発信していたが、その主役とも言える2クラブが開幕戦から激突。10月3日、群馬クレインサンダーズ茨城ロボッツの一戦が行われた。

 ともに悲願のB1昇格を目指して積極的な補強を行った。特に群馬はB2のオフの話題を独占したとも言えるだろう。新潟アルビレックスBBから上江田勇樹名古屋ダイヤモンドドルフィンズから笠井康平、そして宇都宮ブレックスから山崎稜田原隆徳というB1経験者と契約。さらに島根スサノオマジックのエースで昨シーズン1試合平均19.6得点をあげリーグの得点ランキングで6位に入ったブライアン・ブライアン・クウェリ秋田ノーザンハピネッツから2018-19シーズンに1試合平均22.8得点をたたき出したジャスティン・キーナンがそれぞれ加入。

 そして千葉ジェッツから期限付きの移籍ながらマイケル・パーカーを獲得したことは、このストーブリーグで最も大きなインパクトを与えたことと言えるだろう。トヨタ自動車(現アルバルク東京)、千葉で数多くの勝利に貢献してきた“MP3(パーカーのノックネーム)”はトヨタ自動車在籍中の15年に日本国籍を取得。以後、帰化選手としてプレーし、特に千葉時代は天皇杯3連覇の立役者と言える活躍を見せた。

 迎えた開幕当日、群馬のホーム、ヤマト市民体育館(群馬県前橋市)には山本一太群馬県知事、山本龍前橋市長らが激励に詰めかけるなど、地元での期待の大きさがうかがえる。新型コロナ対策により入場者数は絞られる中、1303人のファンがティップオフの瞬間を待った。

 群馬のクウェリのファーストシューで始まったこの試合、茨城はすかさずアブドゥーラ・クウソーがレイアップを入れ返し、予想どおり熱戦の予感が漂う試合開始直後の攻防となった。群馬はクウェリのインサイドを中心にパーカー、山崎が3ポイントを決めコートを広く使って攻めていく。

野﨑零也が切れのあるドライで茨城ディフェンスを切り裂いた [写真]=B.LEAGUE


 互いにディフェンスに対する意識の高い展開が続く中、試合が大きく動いたのは第3クォーターだ。茨城のリチャード・グレスマンヘッドコーチはハーフタイムに「よりシュートチェックを厳しく」と指示。それが奏功して群馬にタフショットを強いる。攻めては小林大祐、マーク・トラソニーニのシュートが決まり、46-49と3点差まで追い詰める。

 しかし、点差をさらに詰めるかと思われた展開の中、グレスマンHCは「ガス欠になった」と試合後振り返ったとおり、茨城の足が次第に止まっていった。それに対して、群馬はベンチスタートの野﨑零也が切れのあるドライブでオフェンスをリード。野﨑は得点だけでなく、アシストも量産してリードを広げる働きを見せた。

移籍のマイケル・パーカーが攻防においてゲームを掌握

 注目のパーカーは試合後の記者会見で「チームを勝たせることが僕の仕事」と話したとおり、攻防に関してバランサーとしての役割を見せた。特にリバウンドでは両チーム最多の14本を記録。オフェンスでも3本の3ポイントを決めるなど、フィールドゴールの成功率が69.2パーセントと高確率でシュートを沈め、終わってみれば21得点とこちらも両チーム最高の数字をたたき出し、格の違いを見せつけた。

 群馬の開幕戦は90-71で勝利。第3クォーターの途中から完全にペースをつかんだ群馬の完勝と言えるだろう。

 群馬を指揮する平岡富士貴HCは「マイク(パーカー)は練習でもハードワーカー。きつい練習の時でも下を向かず、それがチームメートにもいい影響を与えています」と手放しで評価。この試合に関しては「3ポイントをアグレッシブに打ってくれました。でももっとやってくれると思っています」と期待を込めた。

 メディアからの「日本で何回目の開幕ですか?」という質問に「13(じゅうさん)」と日本語で答えたパーカー。プレシーズンゲームは全敗で終わった中での開幕だったが、「(宇都宮ブレックスなど)ハイレベルな相手で苦戦はしたが、自分たちがやりたいバスケを追及していた」と評価。開幕戦については「全員でプレーできたし、しっかりとボールをシェアできた。これはいいチームになるために重要なこと」と手ごたえを感じたようだ。

 群馬は翌日の第2戦も79-72で勝利。ただし、この試合では茨城の粘りにあい第3クォーターで逆転を許す場面もあった。B1昇格への道はやはり平たんではないだろう。

 それでも『前人未踏~It’s Show Time~』のスローガンのもと、B2最多勝利数の54を超えることを目標=B2優勝を目指すにシーズンがスタートした。『バスケで群馬を熱くする』戦いに期待したい。

今シーズン、クレインサンダーズが『バスケで群馬を熱くする』[写真]=B.LEAGUE


文=入江美紀雄

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