2023.02.11

覚悟を持ってプロ契約…福島ファイヤーボンズの土家大輝「2026年スタート予定の新B1で活躍したい」

福島でプロキャリアをスタートさせた土家大輝 [写真]=B.LEAGUE
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

 今シーズンも数多くの大学生が特別指定選手としてBリーグのコートに立つなか、スマートなポイントガードがプロ契約を果たし、新たなバスケットボールストーリーの歩みをスタートさせた。福岡大学附属大濠高校から早稲田大学に進学し、B2東地区の福島ファイヤーボンズと契約を結んだ土家大輝だ。大学2年次にファイティングイーグルス名古屋、3年次に島根スサノオマジックでどちらも特別指定選手としてBリーグのコートに立った土家は、福島との契約に至った経緯を語った。

「オファーをB1、B2に関わらずいただいて、個人的にはプロ契約や特別指定選手契約のこだわりは全然ありませんでした。自分の中で2026年にスタート予定の新B1の舞台で活躍したいという目標があって……。昨シーズンの島根ではあまりプレータイムがもらえずに力不足を痛感しました。B1昇格の見込みがあり、チームとして外国籍選手もいいですし、環境も整っている福島ファイヤーボンズで個人として成長したい。そして、B1昇格に向けて頑張りたいという覚悟です。考え抜いた末に決断しました」

 覚悟を持って新たな道に進んだ土家だが、大学バスケットボールでの経験がその覚悟につながっているのかもしれない。

「文武両道に魅力を感じて早稲田に進学したけど、年々バスケへの想いが強くなり、Bリーグでプレーしたいと思うようになりました。下級生のうちからプレータイムをもらうなかで、悩みながらも主体的に考えて行動に移す力やガードとしての責任感を学べ、多くの経験ができました。いろいろな意味で早稲田に行って良かったと感じています」

 自分自身の目標に向かって突き進み始めたなかで、多くのプレータイムを獲得できているわけではない現状を打破するために、ルーキーらしく思い切りプレーしてほしいと佐野公俊ヘッドコーチは話した。

「シュート力やボールハンドリングに優れ、非常にスマートな選手でもあるので、今後チームにプラスになると考えています。ただ、いい意味で落ち着きすぎている感じがあって、少しチームのことを考えすぎて、何かやろうとしすぎている。もっとルーキーらしく自分の持ち味を思い切り出してほしいですね。チームとして重要な選手だと考えているので、今後期待しています」

 佐野HCの思いを土家自身も理解している様子で、前向きに殻を破ろうとしている。

「大学とプロの違いや壁を痛感しているなかで、いいプレーをすべきという気持ちが強かったけど、先輩やコーチ陣から『自分らしく』という声をかけてもらっていて……。もっと強気に、ミスを恐れずに殻を破れれば、間違いなくチームに貢献できると思っています。持ち味のシュートは自分のタイミングで打てていて、早く1本でも気持ちよく決まれば、流れが変わってくるのかなと。ディフェンスでもフィジカル面で成長して、よりスマートにずる賢くプレーしないといけません。自分自身でいっぱいいっぱいになっていて、コート上でやりたいことを体現できていないので、今がターニングポイントなのかなと感じています」

直近2月5日の試合では約10分のプレータイムで2アシストを記録 [写真]=鳴神富一

 インタビュー中の土家が醸し出す雰囲気と言葉には、いい意味でルーキーらしくない落ち着きを感じた。「自分は正直に言うと、早稲田に見合う学力があったわけでもなく、人見知りでしゃべりも、もともとうまくなかった」と前置きした上で、自身のエージェントのお陰で今の自分がいると話した。

「今、エージェントしていただいている株式会社ウィルの鄭竜基(チョン・リョンギ)社長にプロになりたい意志を告げた時に、チョンさんからプロとして必要な様々なスキルやマインドをほかの大学生とは違う形で一から指導してもらいました。今回の決断もチョンさんと二人三脚で考えて、自分が一番成長できて、目標を達成できるルートを探して決定した感じです」

 しっかりとした準備と経験を携えて、プロとしての第一歩をスタートさせた。「新B1の舞台に立つ」という明確な目標を持ちつつ、プロ選手としての将来像も明確に持っている。

「もちろん日本代表に選手として関われたらすごく幸せですが、それ以上に今までいろいろな人に支えられながらバスケを続けてきて、その人たちにプレーで恩返ししたいというのが一番にあります。もちろん、地元の岡山県を盛り上げていきたい想いも抱いています。選手としてはポイントガードとして、サイズがない分、強みの得点力を活かして自分自身の価値を出していきたいです」

 自身の夢を叶えるため、そして福島の夢を実現させるため、土家は覚悟を持って新たなバスケットボールストーリーを描き始めている。

土家のプロキャリアは始まったばかりだ [写真]=鳴神富一

文=鳴神富一

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