2年目を迎えるB3リーグはいよいよチャンピオンを決めるファイナルステージに突入した。B2参入を視野に入れた強化の進むクラブが増える中、注目度が増すB3リーグ。B3からの底上げが、Bリーグ全体を押し上げるのは必至だ。そこで、ファイナルステージの展望と注目の2チームを紹介していきたい。
2017-18シーズンのB3リーグにおいてファーストステージに続き、レギュラーシーズンを制した東京八王子トレインズ。B2との入れ替え戦参加クラブを選出するための勝ち点もリーグトップの8.0ポイントを保有し、両ステージを通じて8割以上の勝率を誇る。ファイナルステージでも優勝候補の筆頭とみて間違いないだろう。
昨季は驚異的な力で勝ちあがったライジングゼファー福岡と金沢武士団の後塵を拝したが、今季は堅実な戦いぶりでB3をけん引している。
チームを率いるのは日本屈指のビッグマンとして日本代表でもプレーした石橋貴俊氏。昨シーズン途中から八王子のヘッドコーチに就任し、豊富な経験に基づくコーチングでチームに2冠をもたらしている。
石橋HCは「ここまでは大金(広弥)が攻守によく引っ張ってくれている。昨シーズンから技術的にもメンタル的にも成長が見られて、チームのレベルが一段階上がった」と語り、44試合に出場しキャリア最高の1試合平均10.2得点をマークしているポイントガードの成長を、今シーズンの好調の要因に挙げた。今季、東京サンレーヴスより新加入し、キャプテンを務める亀崎光博は「ディフェンスをしっかりこなしていけば、自分たちのゲームに持ちこめる」と、両ステージを通じて平均68.8失点とリーグ最少を誇るディフェンス面をチームのストロングポイントであると強調する。
オフェンスの主要スタッツトップ3に八王子の選手はいずれもランクインしていない。それでも八王子が今シーズンのB3を終始リードしているのは、リーグ最多を記録するスティールをはじめとした厳しいディフェンスが機能しているからだろう。
キャプテン自らディフェンスが強みと語る八王子だが、もうひとつ大きな武器となるのがインサイドだ。外国籍選手3人に加え、B3独自のルールである帰化申請中選手枠であるエドワード・モリスを活かして、攻守に常に優位な状況で戦うことができる。
ファイナルステージを制することができれば「3冠」、そして入れ替え戦を経たその先にはB2昇格も見えてくる八王子だが、“追われる者”のプレッシャーがかかるラスト2カ月間をどう戦うのか。「ディフェンスを波なくできるかにかかってくる。間を突かれたり、ヘジテーションを止められなかったり、そういった細かいところも追求していきたい。毎試合65点以下に抑えましょうという目標でやってきたので(実際の平均失点は68.8点)、残りの試合も70点以下に抑えていきたい」と石橋HCが語れば、亀崎も同じく「シュートの調子はその日にならないとわからないので、まずディフェンス面で崩れないようにしたい」と、あくまで今シーズンの躍進を支えた安定した守備をベースして戦うつもりだ。
ファイナルステージを開幕2連勝で飾った八王子。亀崎は「ファイナルステージは入れ替え戦につながるステップになる。残り試合を一つひとつ大事に戦って、さらに質を高めて入れ替え戦に臨めるようにしていきたい」と力強く先を見据えた。「我々は『今シーズン必ずB2に昇格する』という目標を持って戦ってきた。ファイナルステージを優勝するのはもちろん、入れ替え戦も必ず勝つという覚悟です。どのゲームも楽なものはないが、強い意思を持って最後まで成長していきたい」(石橋HC)。
圧倒的な強さを誇りつつもさらなる進化を求める貪欲なメンタリティ。一戦必勝の姿勢でファイナルステージを戦い抜くことができれば、目標であるB2昇格はさらに近づくだろう。
文=山口晋平