2016.12.24

先輩吉田亜沙美の背中を追いかけて――司令塔神崎が東京成徳を初戦突破へ導く

名門校でエースとして活躍する神崎璃生は、158センチの身長ながら攻守に存在感を示した
2000年より、バスケットボール専門で取材活動中

「硬かったです。自分もシュートが全然入らなくて、焦りもあったと思います」。神崎璃生はそう語る。

 実に37回目のウインターカップ出場で、優勝も3度を数える東京成徳大学高校。そんな名門校でも、やはり大舞台の初戦は緊張してしまうもの。第1ピリオドは奈良文化高校(奈良県)のゾーンディフェンスを攻めあぐね、3ポイント攻勢を受けてリードを許す。キャプテン小沼康乃が早々にベンチに下がったこともあり、司令塔の神崎に重圧が掛かる状況になった。

「チーム全体が硬くなるのは予想していました。神崎も、チームを背負っている気持ちがあったんでしょう」(遠香周平コーチ)しかし、終了間際にこの日初得点となる3ポイント。残り2.7秒のスローインから慌てることなく決めてみせたこのシュートで16-22と差を詰める。すると、第2ピリオドはディフェンスのプレッシャーを強めて、開始3分弱で同点。その後は、リバウンドからの速攻で得点を重ねるうちに、セットオフェンスでもゾーンを攻略するようになった。神崎はディフェンスで激しく足を動かす一方、オフェンスでは落ち着いてコントロールし、高さで相手を上回るチームメートを巧みに動かした。サイズのあるチームの中で、158センチと最も小さい神崎はカギを握る存在だ。

 東京成徳大高校といえば、今夏のリオデジャネイロ・オリンピックに出場した吉田亜沙美と間宮佑圭の母校。神崎も、特に吉田の活躍には刺激を受けたようだ。

「背負っているものが私たちとは違う気がしました。オーラがすごかったです」(神崎)同じポジションということもあり、やはり吉田は憧れの存在。気迫溢れる吉田のプレーを見て、ディフェンスの練習をがんばってきたという。ルーズボールに迷わずダイブする姿も、吉田と重なる。

「自分も同じように小さいので、小さくてもできることを一生懸命練習して、少しでも吉田さんに近づきたいです」

文=吉川哲彦