「小さくても戦えることを証明したい」聖カタリナ梅木千夏が1年後のリベンジを誓う

代表経験者を擁する八雲学園に屈した聖カタリナ学園。1年生の梅木千夏は反省と意気込みを口にした [写真]=大澤智子

「通用している部分もあったけど、自分のプレーができなかった。途中でドライブに行けなくなった時に、他の攻め方を身につけていないといけなかった」。試合後に梅木千夏は、溢れる涙を拭うことなく、自信の現在地を確認するように、しっかりと語った。

 15年連続でウインターカップに出場する聖カタリナ学園高校(愛媛県)で1年生にも関わらず、162センチの小さな体でチームをけん引。今夏のインターハイでは、敗れはしたものの、大会準優勝チームとなった岐阜女子高校(岐阜県)相手に、16点をたたき出す鮮烈なデビューを果たした新星だ。自身初めてとなるウインターカップでも、23日に行われた1回戦、県立長崎西高校(長崎県)戦で、チームトップの20得点に加え、4つのスティールを記録。その類まれなスピードを全国のバスケットボールファンに見せつけた。

 しかし、続く2回戦、梅木に大きな壁が立ちはだかった。この日の対戦相手となった八雲学園高校(東京都)はU-18日・韓・中ジュニア代表の佐藤由璃果、吉田舞衣、U-17代表の奥山理々嘉を擁する強豪校。高くて走れる3選手を中心とした厳しいディフェンスをなかなか崩すことができなかった。「ドライブに行っても高さにブロックされてやりにくかった」と梅木自身も語ったとおり、思うようなプレーができないままに、ジリジリと離される展開となる。焦りからか、コースがディフェンダーに切られている厳しい局面でも強引に持ちこんではタフショットになる場面も目立ち、チームも自身もリズムをつかむことができなかった。

 聖カタリナの後藤良太コーチは反省の弁を口にする。「インサイドに3枚高い選手がいるところへそのままドライブで行ってしまった。事前の練習やミーティングでは、ゴール下へドライブを切っていったら、外へボールをさばくんだよとは言っていたが、梅ちゃんも熱くなってしまって(苦笑)。それを徹底できなかった僕の責任ですね」。梅木の果敢なドリブルは八雲の高さとうまさの前に封じられてしまった。ともにチームを引っ張る2年生ガード、石原柚香の3ポイントやオールコートマンツーマンなどで最後まで粘りを見せるものの、高さを活かしたペイントエリアでの勝負に持ちこまれると、差はさらに広がり始め、終わってみれば、57-89と力の差を見せつけられる結果となった。

 この試合40分間フル出場し、14得点4スティールとまずまずの数字を残した梅木だが、「自分の身長では、ドライブだけでは全国でやれない」と悔しさをにじませた。それでも前向きに「初めてのウインターカップでいろいろなことが経験できました。1年後にはいろいろなことができる選手に成長して、絶対にメインコートに立って、小さくても戦えることを証明したい」と意気込んだ。

 後藤コーチは梅木に対し、「脚力とドライブで切っていく力は他の選手にないもの。これからのチームを引っ張っていってもらうのは当然で、後は落ち着いて判断して、周りが見えるような“遊び心”を持ってほしい」と優しく微笑みながら、期待を言葉に表した。見るものを虜にする素晴らしいスピードとクイックネス。高校女子バスケットボール界に登場した“スピードクイーン”梅木千夏のさらなる成長が楽しみだ。

文=村上成

モバイルバージョンを終了