昨年度王者に力負けも才能は本物、昭和学院の赤穂ひまわりに掛かる期待「日本を引っ張る選手に」

絶対的エースとして昭和学院をけん引した赤穂ひまわり [写真]=大澤智子

 男女を通じて今大会最注目の選手と言っていいだろう。昭和学院高校(千葉県)が誇る大型オールラウンダー、赤穂ひまわり。元日本代表選手を父に持ち、姉、双子の兄、妹も将来を期待されるエリート一家に生まれ育った。その中でも最も豊かな素質を見込まれている逸材が、昨年果たせなかった決勝進出を目指してディフェンディングチャンピオンの岐阜女子高校(岐阜県)に挑んだ。

 第1ピリオドは6点のビハインドを背負うも、第2ピリオドは赤穂が積極的にシュートを打ち、追いついてからは一進一退の攻防で前半は1点差。第3ピリオドも、赤穂はチームの最初の6点を1人で稼ぐ。しかし、このピリオドで赤穂以外に得点を挙げたのは大塩菜々子のみ。4点差に広がると、最終ピリオドは開始30秒に赤穂がこの日の19点目を取った後、チームは約9分間無得点と完全に抑えこまれてしまった。

 ペイントエリアでなかなかボールを持たせてもらえず、確かに相手のディフェンスは一枚上手だった。とはいえ、「もう少し自分から仕掛けていけば良かったです。留学生の高さに対して、受けに回ってしまった」と本人が語るように、チームに最も必要だった得点をもう少し伸ばしたかった。得点以外でも存在感を発揮できる万能選手ゆえに、チームプレーを意識した面もあるだろう。しかし、184センチの選手が3ポイントラインの外からドライブでマークマンを鮮やかに抜き去る姿には、大きな可能性を感じずにいられない。

 鈴木親光コーチは「4年後の東京(オリンピック)ではまだ先輩たちについていくだけでしょうが、その後は日本を引っ張る選手になってほしい」と期待する。そして、「最後になって『負けたくない』という意地を出すようになった」(鈴木コーチ)と、今大会を前に精神面の成長も感じ取れたという。技術的にも体力的にも、まだまだ伸びしろは十分。これからは良い意味での「エゴ」も出し、日本最強の選手へ飛躍してほしい。

文=吉川哲彦

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