2016.12.30

2年生エースを陰で支え「一番大事な仕事をした」、北陸学院の小室が留学生センター相手に奮戦

帝京長岡のディアベイト タヒロウとマッチアップした北陸学院の小室悠太郎 [写真]=大澤智子
大学時代より取材活動を開始し、『中学・高校バスケットボール』編集部を経て独立。メインフィールドである育成世代から国内バスケット全体を見つめる"永遠のバスケ素人"。

 北陸学院高校(石川)は今大会でベスト8に入ったチームのうち、スタメンに県外選手と留学生がいない唯一のチームだった。(ついでに言うと、登録選手の平均身長も8チーム中で最も低い)

 28歳の指揮官が率いる創部4年目のチーム――こう書くと勢いで押す粗削りなチームを想像するかもしれないが、北陸学院は成熟したバスケットボールを駆使し、試合巧者の土浦日本大学高校(茨城県)や2メートル超の留学生選手を擁する帝京長岡高校(新潟県)を撃破。見事3位入賞を果たし、多くの取材陣を感嘆させた。

「石川県がここまでできるということを証明するため、プライドを持ってやってきた」と振り返る下級生エースの大倉颯太にチームの強みを尋ねると、第一に仲の良さを挙げた。

「ジュニアオールスターや同じ中学でプレーした人が多いんで。上下関係もあまりないしケンカもしません」(大倉)

 今年のチームはスラムダンク奨学金でアメリカに渡った酒井達晶、東海大学に進学した大倉龍之介ら1期生と、布水中で全国制覇経験を持つ2年生たちの“はざまの世代”と揶揄されることも少なくなかった。しかし結果的には先輩たちよりも上の成績を挙げることとなった。

 3位決定戦には1期生のほぼ全員が応援に訪れていた。大倉颯太の兄でもある大倉龍は、後輩たちの奮闘をこのように見ていた。

「こんな結果になるとは思っていなくて。自分たちが抜けてから本当にがんばってきたんだなと感じられたし、成長した姿を見られて良かったです。今年のチームは颯太が注目されがちだけど、3年生の仕事がチームの強さにつながっていました。ああいう後輩を持てたことがとてもうれしいです」

 準決勝の東山高校(高校総体2/京都府)戦、3位決定戦の帝京長岡戦と、立て続けに大会屈指の留学生センターと戦った小室悠太郎は中学からバスケットを始め、キャリアが浅い。下級生たちの突きあげに遭うこともあったが「プレーで引っ張ってもらっている面もあるし、言い合いになっても絶対にあいつらが正しいので気にしませんでした。みんな根に持たないんですよ。たとえ言い合ったとしても数分後に忘れてしまうという感じです」と笑った。大倉の言う上下関係のなさの裏側には、先輩たちの気遣いが隠されていた。

「プレー面では先輩たちや大倉に引っ張ってもらっていたけど、その中でハードワークやリバウンドを徹底することで少しでもチームが良くなると考えてやってきた」と話す小室のがんばりを、大倉龍は「最後にこういう結果になったのは、あいつが精神的にもプレー的にも一番重要なところで仕事をしたから。あいつの成長がチームを強くしたんだなと思う」と称える。

 ウインターカップは最上級生の大会とも称される。北陸学院の躍進も、まぎれもなく3年生たちのがんばりから生まれたのだ。

文=青木美帆