2017.05.17

未来のスターを探せ! BBKスカウティングレポート No.002 保泉遼(船橋市立船橋高校3年)

大学時代より取材活動を開始し、『中学・高校バスケットボール』編集部を経て独立。メインフィールドである育成世代から国内バスケット全体を見つめる"永遠のバスケ素人"。

Bリーグ開幕に伴って注目度が増す男子バスケットボール界。2019年にはFIBAワールドカップ、翌2020年には東京オリンピックが控え、より一層の発展へ期待が高まるばかりだ。日本バスケットボール協会やBリーグは両大会、さらにその先を見据えて選手の強化に力を入れている。すでにアメリカの大学で活躍する渡邊雄太(ジョージ・ワシントン大学)や八村塁(ゴンザガ大学)、日本代表に名を連ねる馬場雄大(筑波大学)などが台頭しており、それに続く超逸材、さらに可能性を秘めた“原石”もまだまだいる。ここでは『バスケットボールキング』推薦のスター候補生を紹介。第2回は高校年代屈指のシューター、保泉遼(船橋市立船橋高校3年)をフォーカス。「ストイックで真面目」な主将が新チームを引っ張る。

 空いたら打つ、持ったら打つ。迷いなく放たれた3ポイントシュートは音もなくネットを通過していく。保泉遼は世代指折りのシューターとして、下級生の頃から活躍の機会を得ていた。

 彼の勝負強さと確実性の土台となっているのは、1年生の頃から毎日続けているシューティング。早朝6時半。誰よりも早い時間に体育館に到着し、ノルマの200本インを目指してひたすら打ちこむ。近藤義行監督は「トップアスリートで例えるならイチロー。とにかくストイックで朝から晩までシュートを打っているような子です」と保泉を評する。

 3つ上の兄の影響で、小学3年生の冬から前原中野木MBCに入団。かつて伊藤達哉京都ハンナリーズ)も在籍していた名門チームで保泉はめきめきと頭角を現し、小学6年次の全国ミニバスケットボール大会では優勝を経験している。

 ミニバス時代から、保泉は千葉でバスケットボールをしている同年代に知らぬ者はいない存在だった。船橋市立前原中でもエースとして活躍し、3年次には圧倒的な強さで県を制覇。決勝で前原中と対戦し、保泉を全く止められなかったという現チームメートの野﨑由之は、小6の時に見た保泉のプレーがあまりに衝撃的で、その日の日記に書きとめていたくらいだったと証言している。

 近藤監督の言葉にもあるように、とにかくストイックで真面目。ルーティンやルールを重んじ、偶然にでもボールを蹴る者がいようものなら「ボールに謝れ」と譲らない。「そういうところをバスケットの神様が見ているんです」と真顔で言えるあたり、さながら「バスケット教」の敬虔な信者なのだ。

 一方で物事を重く考えたり自分の世界に入ったりする傾向も強い。チーム全体を見通し、時に鼓舞し、時に調和を作りだす役割を担うキャプテンとしては、まだまだ課題が多い。シュート力を活かすためのパスの精度も、改善が必要だろう。

 最上級生となり、注目度もマークも強まる中で、いかに質の高いパフォーマンスをしつつ、チームをまとめられるか。求められるものは多く悩みも尽きないが、その姿を神様は必ず見ていることだろう。

文=青木美帆
写真=大澤智子

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