2017.05.31

未来のスターを探せ! BBKスカウティングレポート No.004 東野恒紀(厚木東高校3年)

大学時代より取材活動を開始し、『中学・高校バスケットボール』編集部を経て独立。メインフィールドである育成世代から国内バスケット全体を見つめる"永遠のバスケ素人"。

Bリーグ開幕に伴って注目度が増す男子バスケットボール界。2019年にはFIBAワールドカップ、翌2020年には東京オリンピックが控え、より一層の発展へ期待が高まるばかりだ。日本バスケットボール協会やBリーグは両大会、さらにその先を見据えて選手の強化に力を入れている。すでにアメリカの大学で活躍する渡邊雄太(ジョージ・ワシントン大学)や八村塁(ゴンザガ大学)、日本代表に名を連ねる馬場雄大(筑波大学)などが台頭しており、それに続く超逸材、さらに可能性を秘めた“原石”もまだまだいる。ここでは『バスケットボールキング』推薦のスター候補生を紹介。第4回は1対1の能力に秀でているガード、東野恒紀(厚木東高校3年)。メンタル面でも成長を遂げ、「将来は絶対にプロになりたい」と意気込むオフェンスマシーンの今後に期待だ。

 群雄割拠の神奈川において、頭一つ抜けた華と勢いを持つ選手が厚木東高校の東野恒紀だ。ググっと一気に加速度を増すドライブや、小技をきかせたアシストパス、ブザービーター(ブザー終了間際のシュート)が決まるとチームは大きく勢いづき、体育館は大きくどよめく。小さな子どものようにバスケットボールを楽しむ姿も魅力的な選手だ。

 横浜市立原中学校の3年時にはキャプテンとしてチームを全国大会に導き、チームメートの宮本一樹(桐光学園高校3年)と並ぶ世代屈指の素材と目された。県内の多くの高校が獲得に乗りだしたが、県選抜で親交を深めた佐野龍之介(厚木東高3年)の誘いを受けて厚木東高に進学した。

 高校では1年時からベンチに入ったものの、今年度に入るまではなかなか芽が出てこないという印象だった。頭に血がのぼると周りが見えなくなる性格も相まって、無茶な1対1を繰りだしてつぶされることが多かった。しかし、永田雅嗣郎監督が「それだけの素質と気持ちを持っている選手」と辛抱強く指導を続けた結果、最上級生になるタイミングで独りよがりのプレーから脱却。1対1から状況を判断してパスをさばき、チームの流れが悪い時は仲間へ声掛けもできる選手に成長した。

「『1人で一生懸命がんばってるのに、何で怒られるんだろう』って泣いたこともありました」。東野は照れくさそうに以前を振り返った後、「でも、もうダメな方向に進むことはないです」ときっぱり言った。

 県内ナンバーワンを誇る1対1の能力に視野と余裕が加わり、技術的にもメンタル的にも安定した選手になってきた。現時点ではそれほど得意ではない外角のシュートの精度が上がれば、いっそう手の付けられない選手になるだろう。「将来は絶対にプロになりたい」と意気込む神奈川のオフェンスマシーンの今後を、引き続き注目していきたい。

文・写真=青木美帆

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