7月28日から8月2日にかけて福島県で行われた平成29年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(インターハイ)で、男子の部では1回戦から登場の福岡大学附属大濠高校(福岡県)が優勝を飾った。
福大大濠のゴール下に君臨したのは、200センチの体格を誇る井上宗一郎だった。4度のオーバータイムにもつれこんだ準決勝の帝京長岡高校(新潟県)戦では、留学生のティレラ・タヒロウ、ブラ・グロリダとマッチアップ。身長ではわずかに優位に立つものの、独特の動きやジャンプ力に苦しめられた。それでも、タヒロウをファウルアウトに追いこみ、グロリダには徹底マークで対応した。
計58分51秒間コートに立った激闘を経て、明成高校(宮城県)との決勝戦に臨んだ井上。「楽しかった」(井上)という八村阿蓮との対決では、7得点7リバウンドに加えて2アシスト1ブロックを記録した。3年ぶり4度目の優勝に貢献したビッグマンは今大会をこう振り返る。
「(大会前から)先生に怒られると不安しかなくて、『これで大丈夫なのかな』と思ってました。しかし、先生を見返してやろうという気持ちでプレーでき、(3回戦の)東山戦から自信を持てました。1回戦や2回戦では硬く、思うようなプレーができず、自分らしさが出ていないなと思っていましたが、あの試合で吹っきれました」
「下級生が3年生を信じてくれたので、自分たちもチームを信じることができました」と続け、「“チーム一丸”ってこういうことだなと思いました。ケンカしたり、言い合ったりすることが結構あって、こういった対立は去年や一昨年はなかったことでした。学年関係なく言い合えることが、今年のいいところでした」とコメントした。
また、“勝ったら笑い、負けたら泣く”という豊かな感性について指摘されると、「中学校の時からそうでした」と苦笑い。「感情的になってしまうので、試合で出さないようにこらえています。帝京長岡戦で、中田(嵩基)が退場して泣いていたのですが、それを見て『自分がやらなきゃ』と思っていました」と、チームメートへの想いも口にした。
リバウンドを筆頭に「ディフェンスには手応えを感じました」と話す井上は、全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会(ウインターカップ)に向け、オフェンス面での進歩を目標として提示。「ハイポストでボールをもらった時のシューティングが足りていません。もっと動けるようになって、アウトサイドからも攻めることができたらいいなと思いました」と語った。