2017.09.11

市立尼崎、須磨学園との延長戦制して2年ぶり4回目のウインターカップへ

須磨学園を退けウインターカップ出場を決めた市立尼崎 [写真]=平野貴也
元スポーツナビ編集部。フリーに転身後はサッカーを中心に様々な競技を取材するスポーツライターに。

 高校バスケットボールの祭典、平成29年度 第70回全国高等学校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ2017)の兵庫県予選の男女決勝戦が、9月10日に神戸常盤アリーナで行われた。女子は市立尼崎高校が延長戦の末に須磨学園高校を72-64で破って、2年ぶり4回目(※選抜優勝大会出場回数)の出場を決めた。

 前日の準決勝で足を痛めながらも試合最多21得点の活躍を見せた市立尼崎の主将、北川雪乃(3年)は「今年のチームは、3年生が次々にケガをしてしまって、春先から2年生が急に試合に出るようになった時期は、みんなが何をしていいかわからないまま、うまくプレーできずに練習でも毎日泣いているような状況だった」と1年を振り返ったが、全国への切符獲得に貢献したのは、責任感を持ってたくましくなった下級生だった。

[写真]=平野貴也

 試合の序盤は、須磨学園のペースだった。石丸菜華(3年)がドライブ、ジャンプシュートを巧みに使い分けて得点を重ねる一方、市立尼崎はインサイドを使わせてもらえず、北川の3ポイントなどで対抗したが低調な立ちあがりを強いられた。20-20で第1ピリオドを終えたが、第2ピリオド終了時点では7点のリードを奪われた。第3ピリオドも須磨学園のペースで、点差は最大で14点まで開いた。

 しかし、市立尼崎は、相手のファウルが少しずつ増えてきた後半に、2人の2年生が目覚ましい活躍を見せた。第3ピリオドの終盤には、主将の北川が「あの子が一番強く『自分が試合に出れば勝てる』と思っている。メンタルが強い」と評した久保夏実が40-47から3ポイントを決め、さらにドライブからのターンでシュートを沈めて一気に2点差に詰め寄った。第4ピリオドは「前半に何もできなかったので、絶対に点を取ろうと思っていた」と話した西川奈津子がインサイドで圧倒し、次々にポイントを奪った。さらに久保が、思いきったバックショットを沈めてバスケットカウントを奪うなど活躍。久保は「絶対に勝ちたかったので、全部決めてやろうと思った。3ポイントは最近入っていなかったんですけど、本番で(幸運が)降りてきました。バックシュートも、普段はやらないんですけど……」と展開を振り返った。

 市立尼崎が追いついたのは第4ピリオド序盤で、北川のドライブで47-47と同点に。須磨学園も鳥養茉那(3年)の3ポイントなどで一歩も譲らず、第4ピリオドは62-62で終了した。

 ただ、延長戦では、市立尼崎が圧倒した。須磨学園は、樋口の個人技で先に得点を奪い、その後はチーム最多18得点の石丸にボールを集めたがシュートが入らなかった。ポイントガードの神田奈緒(3年)はファウルアウト。結果的に最初の1本しかチームでシュートを決められなかった。市立尼崎は西川と久保が得点を重ね、一気にリードを広げて勝利を手繰り寄せた。

[写真]=平野貴也

 吉川公明ヘッドコーチは「3年生がケガをする中、インターハイは若いチームで臨んだが、ウインターカップはもう少し成熟したチームで臨みたい。負傷から戻ってくる3年生もいるので、全国大会は、これまでとは違う、うちのバスケットを見せたい」と、初の全国ベスト8入りを目指して意気込んだ。

 各都道府県予選の優勝チームに、全国高校総体の優勝、準優勝、さらに開催地(東京)代表の全50チームが日本一の称号を争う全国大会は、12月23日から29日まで東京体育館で行われる。

取材・文=平野貴也

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