2017.09.19

アレセイア湘南が快挙、創部3年目にして初のウインターカップ出場を決める

春季大会、総体予選に続いて県内3つ目の頂点に立ったアレセイア湘南 [写真]=青木美帆
大学時代より取材活動を開始し、『中学・高校バスケットボール』編集部を経て独立。メインフィールドである育成世代から国内バスケット全体を見つめる"永遠のバスケ素人"。

 9月16日、平成29年度 第70回全国高等学校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ2017)代表校を決める平成29年度神奈川県高等学校秋季バスケットボール大会の決勝が行われた。女子はアレセイア湘南高校が県立座間高校を72-49で下し、インターハイ(全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会)に続いて創部3年目にして初のウインターカップ出場を決めた。

 決勝は座間との戦いになる――。アレセイア湘南の張一コーチは早くからそう見越して今大会の準備を進めてきた。しかし、8月末にスタメンガードの寺林陽菜(2年)がねん挫し、チームに動揺が走る。ディフェンスでチームに大きく貢献する寺林を補うため、急きょマッチアップゾーンを用意し、決戦に向けて磨いてきた。

 想定どおり勝ちあがってきた相手に対し、出だしからフルパワーだった。張コーチは「座間はディフェンスも良くてスピードもある。ただパスが少し弱いので、ディフェンスでより強いプレッシャーをかけることで、テンポを狂わせました」と戦い方について説明し、キャプテンの宮優里奈(2年)は「最初から集中して点差を離そう」と話し合っていたことを明かした。試合開始から座間の6連続ターンオーバーを誘発し、第1ピリオドから22-7と突き放した。

 第2ピリオドは座間が工藤柚葉(3年)のミドルシュートを起点に反撃に出たが、1試合20点近くを稼ぎだすエースの河村くるみ(3年)がわずか5得点と大ブレーキ。アレセイア湘南は大山藍李(3年)、山城七海(2年)がプレッシャーをかけつつ、突破されたら宮がヘルプに回り、座間の最重要選手を見事にシャットアウトした。

20得点と奮闘した座間の工藤柚葉 [写真]=青木美帆

 エースの得点が伸びない中、座間は工藤や幸嶋里奈(2年)らを中心に必死に食い下がったが、アレセイア湘南は要所で渡辺菜緒(2年)の3ポイントシュートが決まり、付け入る隙を与えなかった。

 春先から調子の上がらなかったシューターは、張コーチからの「大丈夫、自信を持て」という励ましの声に応えて、この試合は6本の3ポイントを沈める大活躍。宮が「パスをしたら全部入れてくれた」と振り返るように、67パーセントという非常に高い確率のシュートでチームを勢いづけた。

両チーム最多の27得点を記録した宮優里奈 [写真]=青木美帆

 インターハイは2回戦で大阪桐蔭高校(大阪府)と対戦し、34-128と大敗を喫した。張コーチはウインターカップに向けて体作りと個人技を追求していくとコメント。宮も同様に体作りの重要性を説きながら、「パスの合わせとか、チームプレーをしないと勝ちあがれないと思う」と、課題を話した。

 インターハイ後からキャプテンに任命された宮を始め、主力の多くが1、2年生という下級生チーム。余りある伸びしろを存分に活かして、2度目の全国大会に挑む。

大差での勝利となったが「(試合終了直後は)実感が沸かなかった」と宮。初々しい優勝を飾った [写真]=青木美帆

取材・文=青木美帆

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