12月25日、大会3日目を迎えた「ウインターカップ2017 平成29年度 第70回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の最終戦、飛龍高校(静岡県)と高知中央高校(高知県)との一戦、高知中央には1回戦の興南高校(沖縄県)戦で44得点26リバウンドをあげたジェセフネリー・ジュニアが控える。このビッグセンターに対して、激しいディフェンスを武器とする飛龍がどう抑えるかに注目が集まった。
そのビデオを見てオフェンスとディフェンスにアジャストを施したのが飛龍の原田裕作コーチ。「留学生に対してはアタックしないといけません。ブロックの仕方を見て、リバースシュートが有効だと感じました。また、高知のガード陣に対して前からプレッシャーをかけることでボール運びを苦しめることができます。そうすれば、留学生がボール運びをしなければいけないので、ストレスをためることも可能。これは一緒に見ていた選手たちも感じたようで、それを実践してくれました」と、原田コーチが語ったように、後半に入ると飛龍は自分たちのリズムで試合を進めるようになる。
「ハーフタイムに『ここから行くぞ!』と。第2クォーターまで我慢して第3クォーターからスパートするのが飛龍の武器です。それができました」と、キャプテンの伊東潤司が胸を張る。32-29と飛龍が3点リードして前半を折り返したこの試合、第3クォーターで飛龍得意の速攻が出る。松下裕太(3年)のバスケットカウントを皮切りに、伊東の3ポイントシュート、さらに金井星也(3年)のスティールから松下の速攻が決まり、飛龍がプレッシャーを高める。そしてその直後、自陣でのルーズボールに何人もが頭から飛び込むと、飛龍の応援団から大きな歓声があがった。
飛龍の足を使ったディフェンスは、次第に高知中央のスタミナも奪っていく。次第にリードを広げ、51-41と10点リードで第4クォーターに入っていった。それでもセンター陣をはじめとするファウルトラブルの影が飛龍に忍び寄っていたのも事実。「全国の笛にまだ慣れていなません」と原田コーチが指摘したが、結果的にハードなディフェンスは諸刃の剣とはならなかった。飛龍は第3クォーターで奪ったリードをキープして試合終了。飛龍は難敵・高知中央を破り、3回戦に駒を進めた。
試合後、「まだやれていない部分もあったので、今日の出来は60~70点」と、飛龍の原田コーチの採点は辛めだったが、選手たちが見せたパフォーマンスには満足げな表情を浮かべた。「苦しい試合になるのはわかっていました。県内で留学生のいる沼津中央や藤枝明誠と戦っていることで、リュウ(ヤハオ)はやってくれると思っていました。留学生への裏パスをとにかく止めようと指示をして、周りのメンバーもバンプして跳ばせなかったのも大きかったです」と、ジェセフネリーへの守りからペースをつかめたことを評価した。
「実は試合前にガチガチになってて、どうなるかと思っていました(笑) でもやってくれると信じていました」(原田コーチ)というキャプテンの伊東はチーム最多の30得点をあげる殊勲をあげる。飛龍は4回戦で地元の実践学園(東京)と対戦。福島インターハイで猛威を振るった激しいディフェンスは今大会も健在だ。
文=入江美紀雄