2018.06.19

中部大第一が得た、東海大会3連覇の結果以上に大きな収穫

飛龍を下し、東海大会3連覇を達成した中部大学第一。地元開催のインターハイに向けて士気が高まる [写真]=三上太
本格的に取材を始めたのが「仙台の奇跡」と称された2004年アテネ五輪アジア予選。その後は女子バスケをメインに中学、高校と取材のフィールドを広げて、精力的に取材活動を行っている。

 6月16日と17日に愛知県の小牧で行われた「第65回東海高等学校総合体育大会 バスケットボール競技」、いわゆる東海大会は男子が中部大学第一高校(愛知県)、女子が安城学園高校(同)の優勝で幕を下した。

 同大会で3連覇を達成した中部大第一の常田健コーチは言う。「(決勝戦で対戦した静岡県1位の)飛龍とはどこのチームよりも私たちが一番多く練習試合をしている相手。ただ今回の飛龍は2人のエースを欠いていて、いればディフェンスでも的を絞れたのですが、彼らがいない分、戦いにくさがありました。前半は攻守ともにうまくいかず、オフェンスでも苦し紛れの攻撃が多かった。インサイドにパスを入れることもできていなかったので、後半はしっかりとインサイドにパスを供給することでリズムをつかみました」

矢澤はフリースローをすべて沈めた [写真]=三上太

 お互いに相手のことを知り尽くしている中で、飛龍はエースの関屋心がケガでエントリーを外れ、もう1人のエース、杉山裕介も準決勝の四日市工業高校(三重県)戦で痛めた足の具合が良くなく、決勝戦は3分の出場にとどまった。そのことが逆に中部大第一にとってはディフェンスの的を絞りにくくさせ、飛龍が得意とする組織的なオフェンスと、正確な3ポイントシュートに苦しめられる結果になったのだ。

 それでもしっかりと勝ちきったのは、最後の最後で選手たちがコート上で自ら考え、自分たちのバスケットを遂行したからだと常田コーチは明かす。「今大会はいくら苦しい場面でも選手たち自身で考えてほしい、自分たちで局面をこじ開けてほしいという思いから、あえてタイムアウトを取らないと決めていました。そのテーマについては、選手たちがよく応えてくれたと思います」。地元開催のインターハイに向けて、中部大第一は今大会の3連覇以上に大きな収穫を得たわけである。

最後は中部大第一に軍配 [写真]=三上太

 一方の飛龍もまた「チーム全員で攻めることができたのは自信になります」と原田裕作コーチは振り返る。「リバウンドと、中村(拓人)くんをスイッチして守ることに関してはやられる場面もありました。でも東海新人大会で27得点を取られた矢澤(樹)くんの得点を抑えることができましたし、能力はあるのに気持ちの面で不安定な原(千容)が準決勝、決勝と力を発揮してくれるなど、収穫のある大会となりました」

原は大一番で実力を発揮 [写真]=三上太

 むろん課題も見つかったが、2人のエースが帰ってきた時にその課題がクリアされていれば、飛龍はインターハイで「台風の目」になる可能性は十分にある。

 3位決定戦は1年生にナイジェリア人留学生のアジャイ・アーノルドを迎えた美濃加茂高校(岐阜県)が、「まだまだ彼にパスを入れられない」(林龍幸コーチ)と大きな課題を残しつつ、チーム全体で四日市工業を破って3位に入った。

3位決定戦で14リバウンドを獲得したアーノルド(右)[写真]=三上太

文・写真=三上太

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