2018.07.19

インハイ女子注目校(2)精華女子「新たな伝統を築きつつある若いチーム」

若いチームゆえインターハイのカギは選手層 [写真]=青木美帆
大学時代より取材活動を開始し、『中学・高校バスケットボール』編集部を経て独立。メインフィールドである育成世代から国内バスケット全体を見つめる"永遠のバスケ素人"。

8月2日から8月7日にかけて愛知県の一宮市、小牧市、名古屋市で行われる「平成30年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(インターハイ)」。『バスケットボールキング』では、今大会の女子注目校8つをピックアップした。

■女子注目校(2)精華女子高校(福岡県)

 第5シードとしてインターハイに挑む精華女子は、スタメン中、矢野聖華以外は全員下級生という若いチーム。しかしながら、昨年度の3年生が作りあげた「粘りのバスケ」、「困難を自らで解決するバスケ」をしっかりと引き継ぎ、育て、新たな伝統を築きつつある。

 主軸となるのはガードの樋口鈴乃とフォワードの三浦舞華、2人の2年生エース。ともに男子選手顔負けのテクニックで相手を揺さぶり、インサイド、アウトサイド問わず得点を積みあげられる頼もしい存在だ。ゴール下を守るのは2年生の木村瑞希と1年生の中園陽菜乃。特に木村は、九州大会決勝の苦しい場面でゴール下での連続得点を決めるなど、心身の力強さが光った。

 3年生も頼もしい。キャプテンの矢野は、言葉は少ないが、ひたむきにがんばる姿と勝負強い3ポイントシュートで仲間を奮い立たせる。県総体からシックスマンに回った那須楓も腐ることなく自らの役割に徹し、大上晴司監督が「ああいう3年生が控えにいることがチームの一番の強み」と称える存在になっている。成長著しい下級生と、「チーム」という広い目を通して彼女たちを支える3年生が融合し、冬春連続の九州制覇を達成した。

チームをまとめる主将の矢野 [写真]=青木美帆

 インターハイのカギとなるのは選手層か。九州大会は、大きくリードした試合でも主力を下げられず、矢野のファウルトラブルや三浦、樋口のコンディション不調に対しても思いきったカードを切ることができないチーム事情を露呈した。大上監督も決勝後、「あと2人くらい選手が育たないと、全国で2つ以上勝つのは難しい」とコメントしている。猛暑の中で開催されるインターハイは、体力の消耗が激しい長丁場。7番手、8番手の選手がいかに台頭しているかでチームの出来は大きく変わってくるだろう。

 もう1つはサイズ。インサイドの担い手は、木村が175センチ、中園が172センチと全国の強豪校と比べて小さめ。初戦となる2回戦で留学生を擁する高知中央高校(高知県)と対戦する可能性もある。磨いてきたスピードやシュート力で相手を上回ることができるか。

文=青木美帆

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