2018.07.25

インハイ男子注目校(5)能代工業「伝統のスタイルを発揮して名門復活へ」

新田
188センチにして能代工業のインサイドを堅守する新田 [写真]=青木美帆
大学時代より取材活動を開始し、『中学・高校バスケットボール』編集部を経て独立。メインフィールドである育成世代から国内バスケット全体を見つめる"永遠のバスケ素人"。

8月2日から8月7日にかけて愛知県の一宮市、小牧市、名古屋市で行われる「平成30年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(インターハイ)」。『バスケットボールキング』では、今大会の男子注目校8つをピックアップした。

■男子注目校(5)能代工業高校(秋田県)

 中高生くらいの年代の読者は、能代工業を「名門」と表現してもピンと来ないかもしれない。男子最多となる22回のインターハイ優勝を記録し(次点は延岡学園高校の4回)、田臥勇太(栃木ブレックス)を筆頭に多数のBリーガーを輩出しているが、インターハイでは2007年以来優勝から遠ざかっているからだ。

 しかし今年の能代工業は一味違う。多くの人間がそう感じている。5月のカップ戦「能代カップ」で対戦した洛南高校(京都府)の吉田裕司コーチは「往年の能代の迫力や力強さを強く感じた」とコメント。明成高校(宮城県)の佐藤久夫コーチも選手たちに「能代からマンツーマンの守り方を学びなさい」と伝えたという。

 昨年6月からチームの指導に当たるのは、能代工業OBでアソシエイトコーチを務める小野秀二氏。新チームが始動した11月からは、伝統のフルコートディフェンスからのファストブレイクを磨きあげつつ、ナンバープレーなどの飛び道具も授けた。スタメン最長身は188センチの新田由直(3年)。高さでは圧倒的に不利だが、それならばと低い場所に目を光らせ、どこからでもボールに手を伸ばして相手のミスを誘うことを徹底。東北新人準優勝、能代カップにおける2年ぶりの白星を達成し、小野ACは「選手たちに『このバスケットを突き詰めていければ』という感覚が少しずつ芽生えてきている」とうれしそうに語った。

チームのポイントゲッター、中山と須藤(左から) [写真]=青木美帆

 ハーフコートでのオフェンススタイルは4アウトないし5アウト(4人、または5人の選手がアウトサイドから攻める戦術)。随所にバスケットIQの高さを見せる秋元淳之介(2年)やツボにハマったら怖い佐藤侃(3年)だけでなく、新田や187センチの佐々木駿汰(1年)もアウトサイドから次々と攻撃を仕掛けることができる。小野ACが「何が何でも勝ってやるというやんちゃさがある」と評する控えガードの伊東翼(2年)も面白い存在だ。

シューターの佐藤 [写真]=青木美帆

 初戦から気の抜けない戦いが予想されるが、「名門復活」をアピールするだけの底力は間違いなくある。学生もオールドファンも、ぜひ注目してもらいたい。

文=青木美帆

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