2018.08.05

岐阜女子に完敗…津幡の2年生センターは“45点”の上積みを目指す!

津幡の中道はU17女子代表の経験を生かし、留学生にも立ち向かった[写真]=山口剛生
本格的に取材を始めたのが「仙台の奇跡」と称された2004年アテネ五輪アジア予選。その後は女子バスケをメインに中学、高校と取材のフィールドを広げて、精力的に取材活動を行っている。

 試合前、津幡高校(石川県)の元コーチで、今はアシスタントコーチとしてチームに携わっている正元喜博がこう言っていた。

「中学時代のあの子はまったくだったけど、この1年間でよく伸びた。アンダーカテゴリーの日本代表強化合宿に行けば、毎回変わって帰ってくるんだ」

“あの子”とは2年生の中道玲夏である。例年あまり大きな選手がいない印象のある津幡にあって、中道の身長は180センチ。しかも今年はU17女子日本代表として、インターハイ直前までベラルーシでおこなわれていた「FIBA U17女子バスケットボール ワールドカップ」にも参戦していた、期待のビッグマンである。

 東海インターハイの準々決勝の相手は、昨年度のインターハイ女王・岐阜女子高校(岐阜県)。同校にはセネガルからの留学生がいるが、中道の今日のミッションは彼女たちを自由にさせないことだ。ディフェンスはもちろん、オフェンスでも積極的に仕掛けて、できればファウルを誘いたい。中道はそれを忠実に実行した。試合開始早々、ハイポストからドライブを仕掛けるなど、シュートの確率こそけっして高くはなかったが、攻める意志はしっかりと見せたのだ。相手の高さに怖れることなく、そうしたことができたのはU17ワールドカップのおかげだと中道は認める。

「U17ワールドカップでいろんな強い国と戦って、すごくためになりました。萩原(美樹子)ヘッドコーチやアシスタントコーチにどうやって世界のビッグマンを抑えるかを学んだのですが、その守り方を岐阜女子の留学生にもやってみました。ディフェンスだけでいえばやはりワールドカップの相手の方がうまかったのですが、岐阜女子の留学生もよく動くのでリバウンド争いが大変でした」

 試合は61-82で敗れたが、中道は津幡の選手らしく、最後まで粘り強く岐阜女子の留学生と戦っていた。

 中学時代はリバウンドシュートとローポストからのアタックしかできなかったという。しかし津幡に入り東山耕平コーチや正元アシスタントコーチらのもとで「走るバスケット」を学び、さらにアンダーカテゴリーの日本代表でも多くのことを吸収してきた。

「前よりは少し自信を持てるようになってきたかな」

 そう言う中道に岐阜女子戦の自己評価を100点満点で聞いてみた。少し考えたあと、中道は小さな声で「55点くらいです」と答えた。

 半分よりは上と答えたのは芽生えつつある自信の表れであり、しかし一方で満点には程遠い点数であることは、もっともっとやるべきことが多いという自分への戒めでもあるのだろう。

 試合後、正元アシスタントコーチは大いに悔しがりながら、中道の話になると改めて「この1年ですごく伸びたんだ」と笑顔で繰り返した。そしてこう続ける。

「これからの1年の楽しみだな」

 これからの1年で中道は残りの45点を積み上げることができるのか。正元アシスタントコーチならずとも、楽しみである。

自己採点は「55点」。この1年で45点を積み上げていく[写真]=山口剛生


文=三上太

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