2018.12.14

【日本バスケ界のネクストスター①】今野紀花(聖和学園)「ライバルたちには絶対に負けたくない」

冬の舞台で飛躍を誓う聖和学園の今野
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

武蔵野の森総合スポーツプラザにおいて、「SoftBankウインターカップ2018 平成30年度 第71回全国高等学校バスケットボール選手権大会」が開催される。全国高等学校総合体育大会(インターハイ)、国民体育大会(国体)、そしてウインターカップを高校バスケ界の3大タイトルとしているが、ウインターカップは最も注目度が高い大会でもある。そんな“真の年間チャンピオン”を決する冬の祭典を前に、このウインターカップから世界へと羽ばたいてほしいネクストスター4人をピックアップした。

【日本バスケ界のネクストスター】
今野紀花 聖和学園高校3年(宮城県)/178センチ/SG

今大会、女子では1、2を争うほどの注目を集めているのが聖和学園高校の今野紀花だ。アンダーカテゴリーの日本代表だけでなく、今年は8月に「第18回アジア競技大会(夏季大会)」の3x3日本代表にも名を連ね、大会では銀メダルを獲得。高校卒業後の進路もアメリカの大学に進むなど、多くの話題をさらっている。もちろん、話題性だけでなく、その実力はお墨付き。目を見張るような華麗な個人技は必見だ。インターハイではベスト16にとどまっただけに、ラストチャンスとなる高校最後の全国大会では積み重ねてきた経験を活かしてチームを頂点へと導きたいところ。冬の舞台で飛躍を誓う今野に、これまでの取り組みやウインターカップ、そしてアメリカ挑戦への思いを聞いた。

インタビュー=田島早苗

卒業後はアメリカの強豪ルイビル大へ

――インターハイではベスト16に終わりましたが、それを踏まえて10月末のウインターカップ予選などで改善されたことはありましたか?
今野 ディフェンスです。インターハイではディフェンスが課題だったとみんなが感じて練習をしてきましたが、1対1のディフェンスは能力が上がったと思います。それとボックスアウトも徹底して取り組んでいるので、リバウンドの数も増えていると思います。

――高校卒業後はルイビル大学(アメリカ/NCAAのデビジョンⅠ)に進学することが大学から発表されました。
今野 アメリカ進学の話をもらってからいろいろと調べていくうちに、この舞台でやってみたいと感じるようになりました。反対する人もいると思うのですが、アメリカという選択肢が与えられたのなら挑戦しないと後悔しちゃうなと思って決めました。もちろん、日本にいても学べることや成長できることはたくさんあると思うのですが、アメリカでしか経験できないこともあるし、強い人たちの中に入って試合に出るという経験や自分自身に自信をつけるためにも行きたいと思いました。

――アメリカの魅力は何だと感じていますか?
今野 エネルギッシュというか、自分を出すのがアメリカだと思っていて、自分にはないパッションをすごく感じます。

――今野さんはユーロステップが持ち味ですが、いつ頃習得したのですが?
今野 ミニバスの時から使っていたけれど、その時はユーロステップというステップというのは知らず、相手を避けるためにやっていました。(その後)中学、高校生になって名前を知り、NBA選手もやっているし「これを自分の得意技にしよう」と思って動画を見るようになりました。動画は何回も見ています。家ではたまに体を動かすこともありますが、だいたいは頭の中でイメージして。「どういうリズムでやっているのかな?」と思うプレーは(理解するために)何回も見ています。

――一番参考になる選手は?
今野 ジョーディン・カナダ(現シアトル・ストーム)という選手で、彼女の高校生の時のプレーがすごくて。動きの切れと瞬発力。動画を止めても、その時の姿勢が全部形になっているので、だからディフェンダーが引っ掛かるんだろうなと感じますね。

――今野さんもドリブルがうまく、レッグスルーなどをサラリとやりますよね。
今野 ミニバスの時に私より大きい選手がいたので、私はガードでした。その後どんどん背が伸びて、センターもやるようになったので、いろんな動きをオールマイティーにやってきたことが大きいと思います。でも、レッグスルーは練習しました(笑)。(小野)裕先生がドリブル練習の時にレッグスルーなどトリッキーな動きも教えてくださるので。

3年間で身につけた“自分の空間”

――話を聞いていると、1つの動きに対してトライして、それがうまくいかなかったら修正しながら物にしていくタイプのように感じます。
今野 それが楽しいんです。1回教わったものを、(試合の)どういう時に使っているのかを動画などで参考にして、実践に移す。でもその楽しさを感じたのは高校からで、中学までは別の楽しさでした。高校からは考えて楽しんでいるので、裕先生に教えてもらってよかったと思っています。

――3年生となった今年、試合では冷静にプレーをしているように見えます。
今野 1年生の頃は緊張して頭が真っ白になるし、ミスも多いし。周りの空気にのまれるタイプでしたが、日本代表などで国際大会を経験し、自分の空間を作るということが3年間で学べたと思います。自信も付いた分、落ち着くことができるし、やるべきことが明確になっているからこそ冷静になれているのだと感じます。

――試合中に“スイッチ”が入ったと思う時がありますが。
今野 私も自分のスイッチをずっと探していて(笑)。どういう時にパワーが出て、どういう時に出ないのかと思っていたら、ちょっとした怒りがあるとパワーが出てくるということが分かりました。これも3年間で見つけられたことですね(笑)。

――ということは試合中に何か怒りを感じる?
今野 自分が一番やられたくなかったことをやられた時にスイッチが入ります。でも、本当は最初から入れないといけないんですけど……。だから今は(試合前に)いろんなことに神経を研ぎ澄ませて自分に刺激が来るようにしています。

――ウインターカップでは多くのライバルたちがいますし、その中で注目される1人です。
今野 (『FIBA U18女子アジア選手権2018』を一緒に戦った)日本代表でウインターカップに出られなかった仲間の気持ちも背負って全力で戦いたいし、大会に出るライバルたちには絶対に負けたくないです。見られることはしょうがないので、見て下さいぐらいの気持ちでいないといけないし、見ている人に認めてもらえるようなプレーをしたいです。聖和で3年間やってきて今の自分があるので、そのすべてを見てほしいですし、私が引っ張って試合を決められるようにしたいです。

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【日本バスケ界のネクストスター②】河村勇輝(福岡第一)
https://basketballking.jp/news/japan/highschool/20181215/121681.html

【日本バスケ界のネクストスター③】奥山理々嘉(八雲学園)
https://basketballking.jp/news/japan/highschool/20181217/121490.html

【日本バスケ界のネクストスター④】富永啓生(桜丘)
https://basketballking.jp/news/japan/highschool/20181218/122561.html
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ウインターカップ2018 特設ページ
https://basketballking.jp/wintercup2018

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