福岡第一が東山に快勝して初戦を突破。注目の河村&米須のマッチアップの行方は!?

注目を集めた福岡第一の河村勇輝(写真右)と東山の米須玲音のマッチアップ [写真]=大澤智子

 12月25日、「Softbankウインターカップ平成30年度 第71回全国高等学校バスケットボール選手権大会」は大会3日目を迎え、男子2回戦が行われた。この中で最も注目を集めたのが優勝候補同士が激突した福岡第一高校(福岡県)と東山高校(京都府)の対戦だ。

 試合は、出だしから福岡第一のプレッシャーの高いディフェンスが東山自慢のオフェンスを封じ込んでいく。東山はタフショットを強いられ、レイアップシュートに持ち込んでも、福岡第一のクベマジョセフ・スティーブがゴール下でブロックショットを連発(スティーブはこの試合で8ブロックを記録)。第1クォーター、東山を4点に抑えた福岡第一がペースをつかんだ。

 その後も福岡第一は得意のリバウンドから速攻という形を次々と繰り出し、東山につけいる隙を与えない。最終スコアは83-54、福岡第一が強さを見せつけて初戦を完勝した。「出だしがすべてだった」と試合後語った福岡第一の井手口孝コーチ。百戦錬磨の井手口コーチとしても今日の出来には満足だったようだ。

 実力校同士の福岡第一と東山の対戦では別の楽しみもあった。それは福岡第一の河村勇輝、東山の米須玲音によるポイントガードのマッチアップだ。ともに今大会注目プレーヤーに名前があがっており、河村は2年生、米須は1年生と下級生ながら、名門チームの司令塔を務めることからも共通点は多い。

 試合後、米須はそれに関して問われると、「全ての面で河村さんにはかないませんでした」とシャッポを脱いだ。米須は大会前からこのマッチアップを待ち望んでおり、そのためにも1回戦に勝利したいと語っていたほど。しかし、実際にマッチしてみると、「最初から河村さんのペースでした。マッチアップしていて、『これが(U18の)日本代表の実力なんだ』と思ったくらいです。スピードやパスだけでなく、ガードとしてチームメートに声をかけるところなど、負けたくはなかったのですが」とコメントした。

まさにコート上の監督がごとく、チームをまとめる河村勇輝 [写真]=大澤智子


 対する河村だが、あえて意識しないようにしたのか、ことのほかドライな答えが返ってきた。「米須君とクリス(グランダマベラ・モンゾンボクリスティン)のピック&ロールが強いので、5人でしっかり意識しました。米須君はテクニックもあるし、シュートの確率も高い。でもプレッシャーをかけるとまだ周りが見えなくなりこともあるので、それが自分たちの東山対策となりました」と、河村個人というよりもチームで守り切ったことに満足したようだ。反対に「ファウルアウトをしてしまったのはガードとして失格です。ガードは最後までコートに残っていないと。井手口先生には『夕食抜き!』と言われてしまいましたが、本当にそのとおりだと思います」と反省しきりだった。

 河村は1年生だった昨年の今大会で鮮烈なデビューを果たした。それに続けと米須は河村に立ち向かったが、経験も実力も河村に一日の長があったと言える。米須は「後半にもシュートがぶれないスタミナをつけることと、体の線も細いのでトレーニングを重ねて来年のインターハイ、ウインターカップに帰ってきたいです」と決意を込めた。この2人のマッチアップは来年の高校バスケ界の花形となっているかもしれない。

文=入江美紀雄

モバイルバージョンを終了