冬の苦い経験が「大きな薬」に…土浦日大が関東新人2連覇、決勝で100点ゲームの圧勝

完成度の高さを見せつけた土浦日本大学高校[写真]=小沼克年

 2月9日と10日の2日間、千葉県で開催された「平成30年度関東高等学校バスケットボール新人大会」。10日には男女準決勝、決勝の計6試合が行われ、男子は土浦日本大学高校(茨城県)の2連覇で幕を下した。

 同大会は男女各16チームがトーナメント方式で優勝を争った。土浦日大は初戦から危なげなく勝ち進むと、桐光学園高校(神奈川県)との準決勝も第1クォーターで得たリードを守りきって9点差で勝利。迎えた八王子学園八王子高校(東京都)との決勝戦は、終わってみれば101-73という大差をつけて圧倒した。

 第1クォーターは相手留学生のウスマヌ・ジャ(2年)に攻めこまれ26-20と拮抗したが、第2クォーターからは堅守からの速攻が決まりだし、同クォーター序盤で点差を2ケタに。すると、シックスマンの松村竜吾(1年)が内外から得点を伸ばし、49-35でハーフタイムを迎えた。第3クォーターに入ると、佐藤豊コーチから伝統ある背番号「10」を託された鍋田亜廉(2年)が4本の3ポイントを沈める。守備では計14失点にとどめ、同クォーター終了時点で24点の大量リードを作った。

頼れるシューターに成長した鍋田[写真]=小沼克年

 最後の10分間は主力を下げる余裕を見せるも、計28得点を奪って100点ゲームを演じた土浦日大。吉田凜(195センチ)、昨年U18日本代表にも選出された結城智史(192センチ)のツインタワー、中学時代からともにプレーしている山内龍也と鍋田のガード陣、そしてチームをまとめる陳岡燈生(いずれも2年)らがそろう今年チームを、佐藤コーチは「非常にバランスの取れたチームでどこからでも点が取れる」と評す。さらには「ディフェンスも強い」と手応えを感じており、選手たちも「全員がボールへの執着心があって、ディフェンスリバウンドから速攻につなげられるのが強み」(陳岡)、「全員でルーズボールを追ったり、ディフェンスリバウンドを徹底して取る」(鍋田)と口をそろえる。

「どこからでも点が取れる」と佐藤コーチも胸を張る今年の土浦日大[写真]=小沼克年

 昨年を振り返れば、7年ぶりにウインターカップ出場を逃した同校。「それがすごい大きな薬になった」と佐藤コーチは言う。今大会披露した勝負を決めにかかる速攻は、敗戦を糧に取り組んだ練習の賜物であった。「負けてから1カ月はガンガン走ったね。(選手たちは)よくついてきたよ」。

 今大会で他校よりも完成度の高さを見せつけた土浦日大だが、冬の舞台を逃したことで例年より早く新チームが始動できたから、という見方もあるだろう。「まだまだです。もう一度走り直して、体も作り直す」と佐藤コーチも話すように、全国制覇へ向けた本格的なチームづくり、戦いはこれからだ。

 2019年の高校バスケ界はどのチーム、どんな選手が頭角を現してくるのか。今後も楽しみで仕方がない。

写真・文=小沼克年

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