2019.03.20

【連載】2019年注目選手に迫る vol.1-1 河村勇輝の今年にかける思い「最高の結果で恩返しを」

高校バスケ界注目選手の1人である福岡第一の河村[写真]=佐々木啓次
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2019年の高校バスケ界は、一体どの選手が主役に躍り出るのか――。

そんな疑問を抱きつつも、すでに全国に名を馳せ、今年の高校バスケ界の主役となり得るであろう選手がいる。その1人が福岡第一高校(福岡県)の河村勇輝だ。抜群のスピードとキラーパスを武器に攻撃を操る河村は、アンダーカテゴリーの日本代表に選ばれるなど、将来を嘱望されるポイントガード。 昨年のウインターカップでは同校を2年ぶり3度目の優勝へ導いた立役者でもあり、下級生で唯一大会ベスト5にも選出された。いよいよ最上級生となる河村に「2019年にかける思い」を聞くとともに、今年の福岡第一というチームに迫った。

インタビュー・文=小沼克年
写真=佐々木啓次、加藤誠夫

充実した1年を経て、重圧のかかる1年がスタート

――昨年はU16、U18日本代表としてアジア選手権に出場、国体とウインターカップでは優勝を成し遂げました。河村選手にとってどんな1年でしたか?
河村 一言で言うと「あっという間だった」というのが素直な感想です。福岡第一の練習や試合を抜けて、(アンダーカテゴリーの)日本代表にも参加させてもらいました。実際は福岡第一にいる方が長かったですけど、個人的には代表活動の方が収穫も多くあって長かったという印象です。

――怒とうの1年間を振り返って、自分自身が成長できた部分は?
河村 日本代表に入れさせてもらえて、ガードとしての責任感だったり勝ち負けに対する姿勢、勝つための準備などを考えるようになりました。ウインターカップでスタートとして出させてもらった1年生の時は、先輩に任せて1年生らしくがむしゃらにやればいいかなって感じでした。だけど、負けを経験したことで、負けたらガードの責任だと感じましたし、その悔しい思いも含めて去年1年間やってきたからこそ、ウインターカップでは優勝という結果につながったと思っています。

――満足のいく1年が過ごせましたか?
河村 そうですね。本当に充実した1年間だったと思います。

河村は1年次の冬から福岡第一の先発ポイントガードを担っている[写真]=佐々木啓次

――昨年のウインターカップは他を圧倒する強さで優勝しました。大会期間中に苦しかったことはありますか?
河村 いや、あの……。ちょうどバスケットボールキングの取材で自分が「圧勝して優勝したい」みたいな宣言をしたじゃないですか。あの言葉を言ったのは、本当に思っていたことを言ったのもあるんですけど、自分にプレッシャーをかけるためでもあって。でも大会が始まって、自分が言ってしまったことって相当な覚悟がないとできないんじゃないか、と思ったんです……(苦笑)。あれがいいプレッシャーになって、(試合で)ちょっと点が開いた時でも「圧勝して勝たなきゃいけないんだよな」と考えるようになって、最後まで手を抜かずに戦えました。宣言したからにはちゃんと達成しなきゃいけなかったので、あれはあれで言ってよかったなと思います。

――今年もたくさんの期待がかかると思います。プレッシャーはありますか?
河村 そうですね。去年、(ウインターカップで)あれだけ大差で勝たせてもらって、しかも2年生が3人スタートで出ていた中での優勝だったので……。「今年も残ってるから大丈夫だよね」、「勝って当たり前だよね」なんて見られてしまうことは自分にとってもプレッシャーを感じる部分はあります。

昨年の30点分を、どう埋めるか

今年の福岡第一は、昨年のウインターカップ優勝メンバー3人が軸となる[写真]=加藤誠夫

――今年のチームの現状はいかがですか?
河村 正直、今はあまりいい雰囲気で練習をやれていないと感じています。試合に出るメンバーはそれぞれが自覚を持ってやれている部分は多いかなと思うんですけど、インターハイ、ウインターカップまで時間がある中で、試合に出られない子たちやBチームのメンバーのモチベーションがなかなか保ちきれてないかなと……。

――そこが今、一番の課題ですか?
河村 そうですね。そういう雰囲気の中で練習してしまうと、試合に出る自分たちにも影響してしまうと思いますし、自分たちがもっともっと真面目に練習することでBチームの子たちにもいい刺激になって、全員がいい雰囲気の中でバスケットやらないといけないなと思っていますそこが去年に比べてまだまだだと思う部分です。まあ、これからですね。

――今年は小川麻斗選手とともに“ダブルキャプテン”を務めるそうですね。チーム内での役割も変わってくると思います。
河村 負担は増えると思いますね。去年、(古橋)正義さんはディフェンス面ですごく貢献してくれて、自分が抜かれてもすぐにヘルプにきてくれましたし、(松崎)裕樹さんはオフェンス面で2、30点決めてくれたので。得点では裕樹さんと正義さんで3、40点分くらいはあったと思うんですけど、その分を(新しい)スタートの神田(壮一郎)と内尾(聡理)が埋められるかといったら今は20点くらいしか埋められないと思うんですよ。だから残りの20点をどうカバーするか。自分と(小川)麻斗で10点ずつ増やすのか、ディフェンスを頑張って相手の点数を減らすのか、そういう部分の負担は去年より多くなると思います。

新チームで先発を務める神田と内尾(左から)[写真]=佐々木啓次

――河村選手から見た今年のチームの強みは?
河村 去年はスタートが2年生3人だったんですけど、今年は新3年生5人がスタートで、シックスマン、7番手くらいまで新3年生になると思います。最上級生が活躍することによって、チームの士気もより上がると思いますし、自分たちがそういう自覚を持って取り組んでいければ、もっともっといいチームに仕上がるんじゃないかなと思っています。

――現在、チームとして強化している部分はどんなところですか?
河村 走ることです。練習後には最後にランメニューを入れていますし、今は体や体力を作る期間なので。あとは「ディフェンスからの速攻」というスタイルがあるので、ディフェンスメニューと速攻の練習は毎日欠かさずやっていますね。

――キャプテンとして、今年はどんなチームにしたいですか?
河村 全員が「このチームでよかったな」という気持ちにさせてあげたいです。去年はベンチメンバーや試合に出られないメンバーが本当に熱心で、すごくいいチームでした。きっと悔しい気持ちもあったと思うんですけど、捨て身になって応援してくださって自分もすごく後押しになりました。なので、今年も自分が試合に出る以上、出られないメンバーの分までチームを引っ張って優勝に導きたいです。

――最上級生になるにあたって、意識の変化はありますか?
河村 あと1年間でどれだけ井手口(孝)先生に恩返しができるか、という思いが強くなりました。自分は1年生から試合に出させていただいていますし、日本代表も結局は先生のもとでバスケットをしているからこそ、届いたわけなので。全て井手口先生のおかげで、今こうして充実したバスケット生活を送れていると思っています。

河村を中心に昨年果たせなかった夏冬の2冠を見据える[写真]=佐々木啓次

――河村選手が考える恩返しとは?
河村 3年生になって大きな大会で勝つことが最大の恩返しだと思うので、インターハイとウインターカップでしっかり優勝したいです。これから春の遠征も始まりますし、インターハイ予選では大濠(福岡大学付属大濠高校/福岡県)に勝ちきりたいです。大濠に勝ちきれば全国大会優勝も夢じゃないと思うので、それまでに万全の準備をして頑張りたいと思います。

――改めて、今年の目標をお願いします。
河村 この2年間で(ほかのメンバーに比べて)自分が一番いい思いさせてもらっています。でもそれは、みんなが自分を支えてくれたからなので、同期や後輩、井手口先生や保護者の方など、いろんな方々に感謝の気持ちを込めて最高の結果をプレゼントしたいです。絶対にインターハイ、ウインターカップで優勝して恩返しすることが一番の目標です。

次回のテーマは「5分でわかる河村勇輝 30問30答チャレンジ!」

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