2019.04.08

2019年の女子注目選手(1)藤田和(岐阜女子)「パワーアップして復帰! 状況判断に優れる司令塔」

昨年のケガを乗り越えてコートに戻ってきた藤田[写真]=田島早苗
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

4月から新学期がスタートし、高校バスケ界では各チームにルーキーたちが加入。昨年の1、2年生も学年が1つ上がり、ここから本格的なチームづくりを図っていく。今回、バスケットボールキングでは2019年に注目すべき選手を独自にピックアップした。

■女子注目選手(1)藤田和(3年/岐阜女子高校/岐阜県)

 昨年の「SoftBankウインターカップ2018 平成30年度 第71回全国高等学校バスケットボール選手権大会」で、ウインターカップ2回目の優勝を飾った岐阜女子高校(岐阜県)。だが、コート上の歓喜の輪に藤田和の姿はなかった。

 2年生となった昨年は、3年生の池田沙紀(現・筑波大学1年)、木下七美(現・名古屋経済大学1年)らとともに強力な“ガードトリオ”を形成。落ち着いたボール運びや巧みなパスなどでインターハイ準優勝に貢献し、インターハイ前には「FIBA U17女子バスケットボールワールドカップ2018」にも日本代表として出場した。だが、大ケガではないものの、ウインターカップ前に足の故障が判明。藤田はウインターカップ全試合を応援席から見守ったのだ。

「チームが優勝したのはすごくうれしかったのですが、それまでスタートで出させてもらっていたのに、あの場にいなくて……。本当にあの場に立ちたかったですね。最後に3年生たちと一緒にプレーしたかったです」と、藤田は当時を振り返る。

 だが、約3カ月の休養は藤田にとって大きなプラス要素をもたらした。

「池田さんや木下さんが縦に(ドリブルで)切っていく姿を見て、復帰したら新チームになるので、その時は、その役を私がやらないといけないと感じました。それと、それまでもプレー中に周りはすごく見ていたのですが、自分のマークマンを見てプレーすることができていなくて。でも、外から試合を見ていて、どのスペースが開くのか、ディフェンスがどう反応しているのかがよく見え、『ここでこうすればいいんだ』というのが分かりました」と藤田は言う。

東海新人大会ではライバル桜花学園を破った[写真]=田島早苗

 その“気づき”は、復帰した「第32回東海高等学校新人大会」で活かされることになる。2日目の準決勝から出場すると、決勝では好アシストで仲間の得点を演出しただけでなく、「『今、自分が行ける』というような感じで見えるようになりました」と、自らもドライブで切りこみ9得点。パスとドライブとを自在に使い分け、相手を翻弄した。「視野が広がった」と藤田は表現するが、もともと視野は広い選手。それでも「今までは目の前のディフェンスをちゃんと見ることができていなくて、ドライブに行っても全部(ディフェンスに)つかまっていました」と言う。
 
 多くの収穫を得て一回りも二回りも大きくなって戻ってきたエース。ケガも癒えた今後は、夏冬の日本一を目指すチームをあらゆる面でけん引していくだろう。

写真・文=田島早苗

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