2019.05.07

“令和”初の能代カップは開志国際が初優勝、能代工業は0勝5敗で大会を終える

2年ぶり2度目の出場となった開志国際[写真]=三上太
本格的に取材を始めたのが「仙台の奇跡」と称された2004年アテネ五輪アジア予選。その後は女子バスケをメインに中学、高校と取材のフィールドを広げて、精力的に取材活動を行っている。

 5月3日から5日までの期間、今年で32回目を数える、そして「令和」としては初の能代カップ(「第32回能代カップ高校遠抜バスケットボール大会」)が能代市総合体育館で行われた。

 同大会は県立能代工業高校(秋田県)をホストとして、全国の強豪校に参加を呼びかけて、毎年ゴールデンウィークに実施されている。“第4の全国大会”と称させるほどのレベルの高さを誇り、しかもリーグ戦形式で行われるため、出場校にとってはさまざまな経験を得られる舞台となる。今年は能代工業に加え明成高校(宮城県)、開志国際高校(新潟県)、中部大学第一高校(愛知県)、洛南高校(京都府)、そして福岡県の福岡大学附属大濠高校の計6校が出場。結果は2年ぶり2度目の出場となった開志国際が4勝1敗で初優勝を遂げた。

得点面でチームを引っ張るジョーンズ[写真]=三上太

 富樫英樹コーチは「伝統ある能代カップで優勝したことは大きなこと。特に大濠戦は試合の序盤から気合が入っていて、そういう思いがチームみんなに伝わっていた。今回は3年生の高木拓海、板澤明日起、そしてジョフ・ユセフの出来に尽きます。そこに2年生のジョーンズ大翔、小野功稀が彼らの背中を見ながら、どう対応していくかですね」と話す。

 2位は同じく4勝1敗ながら、初日の初戦で開志国際に敗れた福大大濠。片峯聡太コーチは「(内容的に)失敗から入った大会でしたが、その失敗にみんなが向き合って、(第2戦となる)能代工業とのゲームから徐々に(自分たちのバスケットを)やり始めてくれました。ただ変わり始めてはいるけど、まだまだボヤッとしている時間帯があるなど当たり前になりきれていないところがあります。そこは日ごろの鍛錬が必要だと思うので、精神的な部分をもっと鍛え上げて、もっとタフなチームにしないと県内はもちろんのこと、全国でも勝ち抜いていけないなと。そうした反省材料が見つかってよかったと思います」と振り返る。

 福大大濠は能代カップ翌日の6日からすでにインターハイに向けた地区予選が始まっている。県内には宿敵・福岡第一高校もいる。能代カップで得た経験と戦い方のヒントがどう反映されるかに注目したい。

開志国際には65-91で敗れた福大大濠[写真]=三上太

 3位は3勝2敗の中部大第一。1年生に193センチの大型シューター福田健人と、ポイントガードの谷口歩が加入したことでチームのバランスは新人戦のころに比べると格段によくなった。しかし、それだけにまだまだ戦術面が浸透できておらず、メンタル面でも齟齬(そご)をきたし、最初の2日間は大いに苦しんだ。それでも最終日の2試合目に、それまで4戦全勝で、しかもその日の初戦だった開志国際を破ったことは「大きな1勝だった」と常田健コーチは認める。「能代カップでは何か最後にこうした力が出てくるというか、こういうゲームができてよかったですね」と、リーグ戦だからこそのメリットを感じていた。

中部大第一の1年生シューター福田[写真]=三上太

 4位は2勝3敗の明成。5位は同じく2勝3敗の洛南。ホスト校である能代工業は0勝5敗で最下位に終わった。小野秀二コーチは「我々は(優勝した)2月の東北新人大会でこそ結果が出ていますが、4月からチームはガラリと変わってきますから、その分、我々の伸び率が少し少なかったかなと思います」と振り返った。

 能代カップという高いレベルでのリーグ戦を戦うなかで、出場した6校はさまざまな収穫と課題を得て、まずは1つ目の全国大会となるインターハイを目指していく。

能代工業は今後へ向け、多くの課題を残した[写真]=三上太

■大会結果
第1位 開志国際
第2位 福大大濠
第3位 中部大第一
第4位 明成
第5位 洛南
第6位 能代工業

■優秀選手賞
高木拓海(開志国際)
ジョフ・ユセフ(開志国際)
木林優(福大大濠)
横地聖真(福大大濠)
深田怜音(中部大第一)

写真・文=三上太

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