2019.06.10

決勝終盤の外角シュートが決め手となった昭和学院が混戦の関東を制す!

苦しみながらも優勝を勝ち取った昭和学院[写真]=田島早苗
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令和元年の決勝は伝統校同士の対戦に

 6月8日、9日の2日間にわたり、「令和元年度関東高等学校女子バスケットボール大会 兼 第73回関東高等学校女子バスケットボール選手権大会」が茨城県にて開催された。

 一足先に行われた男子同様に女子もAとBの2ブロックに分かれてのトーナメント戦。各都県予選の上位チームが集まるAブロックは、昭和学院高校(千葉県)、明星学園高校(東京都)、埼玉栄高校(埼玉県)、東京成徳大学高校(東京都)が4強へと駒を進めた。

 東京対決となった明星学園と東京成徳大との準決勝。明星学園が大塚羽未(2年)、東京成徳大は洪潤夏(3年)を中心に得点を挙げたが、前半は同点で終了する。しかし後半、昨年の大ケガから復帰したオドボ エンデュランス(3年)の活躍もあった明星学園がじりじりと引き離しにかかる。ビハインドを負った東京成徳大は、最後まで攻め続けたが、決定打に欠き、最終スコア65-84で敗れた。

「ディフェンスをもっと頑張らないといけないし、リバウンドやルーズボールへの気持ちも薄かったです。オフェンスもディフェンスも、まだ雑。もっと精度を高めないと」と、敗れた東京成徳大の遠香周平コーチは今後の課題を語っていた。

果敢にリングに向かった東京成徳大の点取り屋・洪[写真]=田島早苗

 もう1つの準決勝、昭和学院と埼玉栄との試合は、ミスもあり波に乗れない昭和学院をよそ目に大家未羽(3年)の3ポイントシュートなどが決まった埼玉栄が先行する。しかし、昭和学院も花島百香(1年)らの得点で追随。前半を34-35と1点差に詰めて終える。

 だが、第3クォーター出だしも埼玉栄に主導権を握られる展開に。それでも、昭和学院は増田泉美(3年)、三田七南(2年)、花島といった180センチ前後の高さを持つオールラウンダーたちが奮闘。再び埼玉栄を捉えると、第4クォーターではオフェンスリバウンドからの得点などでリードを奪った。結局、リバウンドから勝機を見出した昭和学院が73-62で勝利を収め、決勝進出を決めた。

 決勝進出は逃したが3年生を中心に総合力の高さを発揮した埼玉栄。目由紀宏アシスタントコーチは、「自分たちの流れになった時にフリースローやレイアップシュートを落としていた。今年は点差を離し切れない弱さがある」と試合を振り返った。

キャプション 体を張ったプレーで盛り立てた埼玉栄の沖[写真]=田島早苗

最後までもつれた決勝戦。3ポイントシュートが決定打に

 伝統校同士の決勝戦。昭和学院が幸先良くシュートを決めたが、「相手のディフェンスに対応できず、オフェンスが空回りしていました」(鈴木親光コーチ)と、その後はシュートが枠を捉えない。逆にディフェンスから速い攻めで田中ナターシャ絵里(3年)やエンデュランスらが連続得点を挙げた明星学園が前半を終えて7点リードした。

田中 ナターシャ(中)がチームをまとめた準優勝の明星学園[写真]=田島早苗

 しかし、「プレーが合っていない中でも点差が7点で済んでいた」(鈴木コーチ)という昭和学院は、後半にオフェンスが機能し出すと、田嶋優希奈(1年)、三田の値千金の3ポイントシュートが決まった第3クォーターに逆転に成功。第4クォーターでは、インサイドにアウトサイドにとバランスよく加点して61-59と僅差の戦いを制し、4年ぶりの優勝を決めた。

 1年生の花島、田嶋が堂々のプレーを見せた昭和学院。鈴木コーチは、チーム全体の課題にメンタル面を挙げながらも、準決勝、決勝では増田が留学生を相手に体を張ったディフェンスをしたことについて「そういった1つのキッカケがあれば何かが変わってくれると思います」と、選手たちに期待を寄せていた。

1年生の田嶋、花島(左から)も試合を重ねるごとにらしさを発揮した[写真]=田島早苗

 一方、惜しくも準優勝となった明星学園・椎名眞一コーチは、「途中で足が止まってしまった。アーリーオフェンスを中心にやっているので、メンバーチェンジしながら40分間続けられるように。それには6、7、8番手の選手が必要になってくると思います」と今後の課題を的確に挙げていた。

 なお、Bブロックは、再延長の末に決勝戦を制した佼成学園女子高校(東京都)が連覇を達成した。

ベンチや応援席からの声援も優勝を後押しした佼成学園女子[写真]=田島早苗

取材・写真・文=田島早苗

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