7月28日から鹿児島県で開催される「令和元年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」。男子は予選を勝ち抜いた計53校が、“令和初”の全国王者を懸けてしのぎを削る。
一方で、惜しくも予選で涙をのんだチームが数多くいることを忘れてはならない。その1つが、昨年まで8年連続でインターハイ出場を果たしていた福岡大学附属大濠高校(福岡県)だ。
今年度のインターハイで福岡県に与えられた出場枠は、男女ともに「1」。福大大濠は予選の決勝リーグにて、福岡第一高校相手に試合開始から敷いたゾーンディフェンスが功を奏し、第1クォーターで22-10とリードを奪った。しかし、第2クォーター中盤からは相手に主導権を握られ、最終スコア71-78で敗戦。大一番でライバルを倒すことはできなかった。
それでも、キャプテンを務める西田公陽は「全て出しきって負けたので後悔はないです」と話す。敗戦後は「これで全てが終わったわけではないし、これからは切り替えてやるしかない」とチームメートの前で話し、チームを前に向かせた。
インターハイ出場を逃した福大大濠は予選から約20日後、福岡第一とともに九州大会に出場。例年であればインターハイを見据えての大会になるのだが、片峯聡太コーチは「今回のメンバー12人が一人ひとり課題を持って帰れるように、ある程度(全員の)プレータイムを確保する」と、今回は早くも冬のウインターカップを視野に入れた。
その言葉どおり、点差に関わらずバランスよくエントリーメンバーがコートに立った福大大濠は、初戦から川内高校(鹿児島県)、溝部学園高校(大分県)、延岡学園高校(宮崎県)と今年のインターハイ出場校を撃破。改めて全国トップレベルの強さを証明してみせた。決勝では再び福岡第一に敗れはしたが、今大会の結果によりウインターカップの福岡県出場枠は「2」に増え、冬の全国制覇の可能性を大きく広げた。
新チーム発足時、ポイントガードにチャレンジしていたエースの横地聖真は、岩下准平(1年)、平松克樹(2年)という下級生ポイントガードの成長もあり、本来の点取り屋に戻りつつある。3年生の木林優は、決勝戦で福岡第一のクベマジョセフ・スティーブ相手に31得点を挙げて手応えをつかみ、西田公陽は「各ポジションと選手の役割をもっと明確すればもっと良くなる」と全体の底上げを目指す。
インターハイ期間中、福大大濠はより一層過酷な夏を過ごすのだろう。すべては冬の全国制覇、打倒・福岡第一のために。
写真・文=小沼克年