福岡第一の内尾聡理、泥臭いプレーで存在感を発揮…井手口コーチも称賛「素晴らしかった」

準決勝進出に大きく貢献した内尾 [写真]=佐々木啓次

 インターハイ4強をかけて臨んだ東山高校(京都府)との「令和元年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会」の男子準々決勝。福岡第一高校(福岡県)の勝利を手繰り寄せたのは、司令塔の河村勇輝、チームキャプテンの小川麻斗でもなければクベマジョセフ・スティーブでもない。スモールフォワードの内尾聡理(いずれも3年)だ。

 指揮官の井手口孝コーチが試合後にホッとした表情で話したとおり、「負けてもおかしくない試合だった」。

 福岡第一は今年初対決の相手に苦しめられながらも、前半を11点リードで折り返した。普段どおりであれば、第3クォーターでさらに相手を引き離して試合を決めにいく。しかしこの日の第3クォーターは、序盤でスターターを務める内尾が3つ目のファウルを宣告されてベンチへ。すると流れは一変。「オフェンスもディフェンスも悪かったが、オフェンスのことだけを考えてしまった」(小川)と相手にペースを握られ、第4クォーターを前にその差を4点まで縮められてしまった。

 その様子をベンチから見守っていた内尾は、「ディフェンスがソフトになりすぎていた。自分が4クォーターから出ると思っていたので、ここで違いを出せればと思っていた」という。そして、「ベンチで休めたし、自分がハッスルして頑張ろう」と意気込み、勝負の10分間のコートに立った。

 本来のスターティングファイブに戻った福岡第一は、開始から神田壮一郎(3年)、小川の連続得点が決まると、その後は内尾がディフェンスやリバウンド、合わせのプレー、ルーズボールにダイブと攻守にわたって存在感を発揮。206センチのムトンボ・ジャン・ピエール(2年)とリバウンドを競り合い、中川泰志(3年)にブロックショットも浴びせた。この10分間を21-11とした福岡第一は、最終スコア70-56で勝利を手にした。

準々決勝では、14得点11リバウンドをマークした内尾 [写真]=佐々木啓次

 内尾はこの試合で14得点11リバウンドの“ダブルダブル”をマーク。185センチながらリバウンドではセンターを務めるスティーブの「8」を上回った。

「試合の入りが大事だと思っていましたが、マークマンにやられてしまいました。自分が前半からちゃんとやれていれば、こういう展開にはならなかったと思うし、もうちょっと楽な試合ができたと思うので、そこは反省点です」

 控えめな内尾は、そう自身のパフォーマンスを振り返る。たが、会場で起こった歓声や拍手、井手口コーチ、チームメートの言葉からもくみ取れるように、内尾は確かに福岡第一を救った。

「ルーズボール、合わせ、リバウンド、ディフェンスと素晴らしかったですね。4クォーターは内尾に助けられました」(井手口コーチ)

「ああいう選手がいるから、チームの勝利につながっている。泥臭いプレーを見ることによって、自分たちもルーズボールやディフェンスを頑張れるので内尾には感謝してます」(小川)

文=小沼克年

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