2019.08.04

総合力の高さで対戦相手を粉砕した桜花学園。冬に向けてもっと強くなる!?

桜花学園は昨年に引き続きインターハイを制した[写真]=兼子慎一郎
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 5年連続同一カードとなった「令和元年度 全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」女子決勝。第1シードの桜花学園高校(愛知県)と岐阜女子高校(岐阜県)と、3年ぶり2回目の優勝を狙う岐阜女子高校(岐阜県)が対戦した。

 第1クォーター、一進一退の状況から抜け出したのは桜花だった。残り3分44秒、江村優有のジャンプシュートで同点に追いつくと、前田芽衣の3ポイントシュートで逆転。その後も畳みかけるように岡本美優がオフェンスリバウンドをねじ込めば、とどめはオコンクウォ・スーザン・アマカがパスをカットして、そのままレイアップシュートを決める。桜花は7点ものリードを奪って第1クォーターを終える。

 岐阜女子の得点を4分36秒もの間抑え、9連続得点で奪った桜花のリードがその後の試合展開に重くのしかかっていく。第2クォーター、岐阜女子は林真帆の3ポイント、藤田和のドライブで活路を見出そうとする。残り5分1秒には藤田がレイアップを決めて同点に追いつき、一進一退の展開に持ち込もうとするが、残り4分を切って桜花は岡本らがゴールを決めるとリードを7点に戻して折り返した。

 何とか点差を詰めたい岐阜女子だったが、後半になると桜花は相手にコートに立った5人が入れ替わりにシュートを決めて、的を絞らせないオフェンスを見せるようになる。特に前半で徹底マークを受けたエースの平下愛佳がリバウンドを奪ってそのままドライブでコートを駆け抜けてレイアップシュートを決める『コースト・トゥ・コースト』を見せると、ベンチは大いに盛り上がった。

平下は後半に入ると本来の姿を取り戻した[写真]=兼子慎一郎

 岐阜女子はオールコートのディフェンスで最後まで抵抗を続けるが、大事な場面でミスが出て点差を縮められない。オフェンスでも林、藤田に得点が偏ることで、桜花のディフェンスは的が絞りやすくなった。

 最終スコアは72-59。桜花は岐阜女子の得点を50点台に抑え、攻防において圧倒する形で勝利。2年連続24回目のインターハイ制覇を成し遂げたのだ。

 試合後、メディア対応した桜花学園の井上眞一コーチは「快勝でした」と笑顔を見せた。井上コーチは少しでも流れが悪くなればタイムアウトを請求して、チームの立て直しを図ることを怠らなかった。「しっかりセットオフェンスをやり切ること」を徹底させ、石橋を叩いて渡るようにゲームコントロールした。

「今大会、一番不安だったのが前田(芽)だった」と井上コーチは明かしてくれた。実はそのポジションに入る予定だった1年の平下結貴がエントリー変更、前田(芽)が抜擢されたという。それが井上コーチの心配につながるわけだが、前田(芽)は逆に存在感を示してみせた。

今大会でスタメンに抜擢された前田[写真]=兼子慎一郎

 前田(芽)は決勝戦では3ポイント2本を含む10得点をゲット。ディフェンスでも岐阜女子のシューター陣を徹底マークする役割をやり遂げる。井上コーチも「仕事をしました」と及第点以上の評価を与えた。

「アマカは大会を通じて成長してくれた。桜花のバスケットをしっかり覚えてくれている。また岡本はミスも多かったけど、スペースがあればきっちりと攻めてくれた」と2人の名前をあげ、優勝の原動力になったと話してくれた、

 付け入る隙を見せない戦いで頂点に勝ち上がった桜花学園だが、今後の課題を忘れないのが井上コーチ。「今、競った場面でベンチから出せるのは朝比奈(あずさ)ぐらい。ウインターカップまでには平下(結)も帰ってくるので控えをもっと厚くしたい」とコメント。今大会、「今年の桜花はとにかく強い」と対戦相手や周囲から声が聞こえてきた。井上コーチはその強さをさらに盤石に整えるつもりだ。

昨年果たせなかったウインターカップとの2冠を狙う[写真]=佐々木啓次

文=入江美紀雄

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