2019.12.04

【ウインターカップ注目校】北陸(福井)「夏の快進撃を自信に、“北陸一丸”で冬も高みへ」

今夏のインターハイでは、強豪校を次々と倒し決勝まで上り詰めた[写真]=佐々木啓次
本格的に取材を始めたのが「仙台の奇跡」と称された2004年アテネ五輪アジア予選。その後は女子バスケをメインに中学、高校と取材のフィールドを広げて、精力的に取材活動を行っている。

12月23日から29日の期間、都内で開催される「SoftBank ウインターカップ2019 令和元年度 第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会」。高校バスケット界で最も注目の集まる“冬の祭典”に向け、バスケットボールキングでは大会の注目チームをピックアップした。

■ウインターカップ男子注目校(1)北陸(福井県/高校総体2)

 今夏のインターハイでは、優勝した2006年以来となる決勝戦まで勝ち進んだ北陸高校。しかもノーシードから、ウインターカップにも出場する市立船橋高校(千葉県)、東海大学付属諏訪高校(長野県)、明成高校(宮城県)、延岡学園高校(宮崎県)、そして報徳学園高校(兵庫県)といった並み居る強豪校を倒しての快進撃だった。決勝戦では福岡第一高校(福岡県)の前に力尽きたが、それだけにウインターカップで目指すところはチーム全員が一致しているところだろう。

 マリ共和国からの留学生、202センチのダンテ・スレマニィ(3年)をペイントエリアに据え、ディフェンスが収縮すれば、シューターの高橋颯太(3年)、米本信也、小川翔矢(ともに2年)らが3ポイントラインの外からシュートを射抜いていく。このバランスのよさこそが、相手に的を絞らせず、インターハイの決勝戦まで勝ち進めた要因かもしれない。

 加えてインターハイでは、コート、ベンチ、応援席と選手間のコミュニケーションがうまく取れていたことも大きな推進力になった。卒業生でもある篠山竜青川崎ブレイブサンダース)がキャプテンを務める日本代表のキャッチコピーをもじれば、“北陸一丸”こそが今年のチーム最大の武器なのかもしれない。

ウインターカップは第2シードに入った[写真]=佐々木啓次

 インターハイ終了後にチームを率いた重野善紀コーチが言っていたコメントが印象に残る。

「最近の北陸は“強豪”と言われなくなりました。“古豪”とか“伝統校”と呼ばれるのは、オールドファンにとってはいいかもしれませんが、今の子どもたちは知らないことです。久しぶりに決勝の舞台で戦えて、『まだ北陸はいるんだぞ』という復活の狼煙をあげられたと思います」

 その狼煙を真の力に変えられているかどうかはウインターカップにかかっている。ディフェンスをより強化し、夏以上に走るバスケットができるか。どのチームも強化の上積みをしていて、タフなゲームも続くだろうが、そのなかで正確なシュートを決め続けられるか。そこが夏に見えた課題でもあった。昨年は初戦で敗れているだけに、まずは初戦の戦い方に注意して、夏のようにうまく風を捉えたい。

 今年の北陸は、強かった頃に見た“ヤンチャさ”を存分に見せてくれる。それは一方で不安定さという脆さも内包しているが、そんな大人の不安、心配を吹き飛ばすような快進撃をウインターカップでも見せてもらいたい。

文=三上太

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