2019.12.10

【次世代の主役に迫る①】知名祐里(西原)「沖縄のバスケを全国に見せ付けたい」

独特のリズムで相手を切り裂く西原の知名[写真]=Basketball King
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

バスケットボール界の冬の風物詩とも言えるウインターカップが、いよいよ12月23日に開幕する。令和元年を締めくくる「SoftBank ウインターカップ2019 令和元年度 第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会」では、どんな選手が大会を彩ってくれるのか——。ここでは、ウインターカップから世界へと羽ばたいてほしい次世代の主役たちに迫った。

【次世代の主役に迫る①】
知名祐里 西原高校3年(沖縄県)/165センチ/PG

インターハイでは緩急の付けたドリブルから相手を抜き去り、巧みなパスで味方のシュートを演出。エースとしてチームのベスト8進出に大きく貢献したのが知名祐里だ。アシストだけでなく得点力も持ち合わせる司令塔は、もちろん、夏以上の結果を残すべくウインターカップに向けて意気込んでいる。卒業後はWリーグへと進む期待のポイントガードは、昨年に続いて出場となった冬の舞台でどんなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。

インタビュー=田島早苗

目標のベスト8入りとなった今夏のインターハイ

――まずは、鹿児島県で行われた今年のインターハイを振り返ってください。
知名 全国ベスト8以上という目標を掲げてやって来たので、目標を達成することができてうれしかったのが1番です。それと、西原の持ち味である堅い守りからのブレイクというスタイルが出せた大会でもありました。全国のチームと戦っていろんなことを学べたので、自分にとっても大きかったですね。

――準々決勝では、後に優勝する桜花学園高校(愛知)と対戦しました。
知名 私たちはチャレンジャーなので積極的にやっていこうと試合前からみんなで声を掛けていたのですが、桜花は一人一人がうまくてレベルの高いチームでした。ただ、それに負けずに攻め切ることができましたし、ディフェンスでは高さでやられたり、リバウンドだったりで課題は残ったのですが、優勝校と戦ったことで自分たちの意識も変わりました。もっと上を目指したいという気持ちが高まりましたね。

――インターハイ以降、チームとして個人として取り組んでいることは?
知名 チームとしてはディフェンスです。ウィンターカップは集大成なのでどのチームも仕上げてくる中、今のままだと次の目標であるベスト4には届かない。ディフェンスを強みにしている分、改善に取り組みました。それとシュート確率。身長が小さい分、リバウンド取ってからの次のプレー、セカンドチャンスというのは少ないので、最初のシュートでより確率の高いシュートを決めることができるかは大きなカギになると思います。

個人としては動きを読まれたり、分析されたりすると思うので、それに対してどう工夫をして周りの選手を生かし、自分のプレーも生かすか。夏より工夫を加えたプレーができるように練習しています。

――自分自身の持ち味は?
知名 どれだけ早くブレイクに持ち込めるか。チームとしても高さがないので、セットオフェンスになってしまうと相手のブロックなど攻め切れないところがあって厳しくなってしまいます。だからこそスピードで勝負しようと思っています。

――ドリブルで緩急つけるのも上手で、崎浜秀勝コーチも独特のリズムがあるとおっしゃっていました。
知名 私の中ではあまり意識はしていないのですが、これまでいろんなチームと対戦し、いろんな選手のディフェンスに対応してきました。その中で『こうしないといけない』『ああしないといけない』などと考え、そこで生まれた動きなのかなと思います。

――司令塔としてはもちろん、それ以外で自分の役割は何ですか?
知名 チームのリズムが悪かった時に、みんなに声を掛けて良い流れを自分たちのところに持ち込めるようには意識しています。積極的にコミュニケーションを取ることです。あとは、苦しい場面で私がしっかり1本決めること。これは試合の中で常に思っていることなので、そういった面でもチームを引っ張っていきたいと思っています。

高校から司令塔に転向。目指すは『周りを生かすガード』

――高校からポイントガードにコンバート。最初は苦労したのではないですか?
知名 初めはドリブルもままならないぐらいで、やりたいことが全然できませんでした。ゲームメイクも全くできなくて…。1年の頃からスタートで使ってもらっていたのですが、本当に上手くいかないことばかりでした。初めは泣きじゃくって、毎日のように先輩たちに慰めてもらって。でも、そこからYouTubeや上手いと思った高校生のプレーを盗みながらやって。初めは苦しかったですが、今はガードというポジションがすごく楽しいです。

――今年はU18女子日本代表として「第27回 日・韓・中ジュニア交流競技会」にも出場しました。
知名 チームメイトがレベルの高い、全国でも有名な選手ばかり。その中で一緒にやることができて、いろんなものを身に付けることができました。海外のチームと対戦することで背の高いプレイヤーに対してどう対応したらいいのかも分かりましたし、シュート確率の大切さは本当に勉強になりました。

――将来的にはどんなガードになりたいですか?
知名 パスが好きなので、周りのプレイヤーを生かすガードになりたいと思っています。スピードを持ち味にしているので、スピードで相手をかき回しながら、周りのプレイヤーも生かしていきたいです。

――パスが好きとのことですが、どういった時にパスの楽しさを感じますか?
知名 アウトナンバーの時や私のパスから味方選手がシュートを決めてくれた時などです。さらにシュートが決まったことでチームが盛り上がれば、私自身のテンションもすごく上がります。自分で攻めて行くことも大切ではありますが、自分自身がいいパスをして、味方が決めて点につながることが一番うれしいですね。

――夏より知名さんへのマークも厳しくなると思います。
知名 プレッシャーはあるのですが、それでも私が一番楽しんでプレーできれば。まずは自分たち、そして私が一番楽しんで、一戦一戦勝っていきたいです。ウインターカップでは、思い切り暴れて、西原の沖縄のバスケットボールを全国に見せ付けたいと思います。

――最後にウィンターカップでの抱負をお願いします。
知名 ディフェンスではいろんなバリエーションを使って相手にプレッシャーをかけること。そこから自分たちの走りでしっかりと速い展開に持っていきたいです。

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