2019.12.26

180センチでダンクができる!次世代の福岡第一を牽引するハーパー・ジャン・ローレンス・ジュニアに注目せよ!

次世代のチームにおいて中心的な役割を期待されるハーパー・ジャン・ローレンス・ジュニア[写真]=大澤智子
バスケットボールキングプロデューサー(事業責任者)。学生バスケをテーマにしたCM制作に携わったのがバスケに関する初仕事。広告宣伝・マーケティング業務のキャリアが一番長いが、スポーツを仕事にして15年。バスケどころの福岡県出身。

 12月26日に行われた「SoftBank ウインターカップ2019 令和元年度 第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の男子3回戦。優勝候補筆頭で、大会連覇を狙う福岡第一高校(福岡県/総体1位)は、九州学院高校(熊本県)と対戦。序盤は硬さが目立ち、九州学院の積極的なドライブに戸惑いを見せた前回覇者だったが、終わってみれば104-59と圧倒的な強さを見せて、準々決勝へと駒を進めた。

 試合後の取材に応じた福岡第一の井手口孝コーチは「九州学院さんは、何度も試合をやっているチームということもあり、難しかった・・・。いろいろな策を持っているチームなので、慎重になり過ぎてしまいました」と語ると、「気持ち良くバスケができていないし、ファストブレイクの精度が足りない」と100点ゲームの圧勝にも課題を挙げた。

 普段ベンチに座る3年生に多くプレータイムを与えたことについては、「私はコーチではありつつも、教師、指導者でもあるので、もし迷うのならば3年生を出します。それは部員にも伝えてあります」と微笑みつつ、河村勇樹、小川麻斗を中心とした盤石な3年生からの世代交代に話が及ぶと、「12月30日からは頭が痛いよ」と井手口節で笑いを誘った。

世代交代も見据えたベンチワークを見せた井手口孝コーチ[写真]=大澤智子

 しかし、名将井手口コーチが世代交代を見据えていないわけはなく、この試合でも先を見据えて1年生や2年生を含むセカンドユニットに試合中も激しく激を飛ばすシーンが散見された。この期待に応え、この試合で輝いたのは180センチのポイントガード、ハーパー・ジャン・ローレンス・ジュニアだ。ハーパーの活躍を受けて井手口コーチは「(ハーパー・ジャン・ローレンス・)ジュニアは、小川、河村と比べるとかわいそうだけれど、彼にかかる新チームの期待と責任は大きい」と述べると、「中学のときはフォワードのようですが、ガードの素質があると見て、ガードへ転向させました。これから経験を積んでいけば、ダンクができるという点では河村よりも上ですし、ダンクシュートは同じ2点でも雰囲気を変える強力な武器。それは小川、河村にはない彼の大きな特徴だと思います」と語り、発展途上の逸材の更なる成長に目を細める。

 一方、コーチの期待に対し8得点、チーム最多の5アシストを挙げて、1スティール、3ブロックと八面六臂の活躍を見せたハーパーは「ディフェンスはできても、オフェンスにミスが多く、得点をつけるとすれば、100点満点中の50点くらいです」と謙虚に語る。今大会で卒業する河村、小川ら3年生のあとを受けてチームを引っ張っていくことについては「やはりプレッシャーは感じます。ただ、一つひとつの大会を大事に戦って、結果を残していきたいです」と述べる。また、憧れの選手を問うと「憧れているのは河村選手ですが、自分の方が、河村選手よりも足が早く、高く飛べるので、河村さんのような状況判断力を身につけて、河村選手をバージョンアップしたような選手になりたいですね」と笑顔を見せた。

 この試合では河村とは違う自身のフィジカルの強さを、大勢の観客の前で披露したハーパー。そのプレーはさながら“暴走ブルドーザー”。無人の野を駆けるようにセンターラインを力強いドライブで突破してレイアップを決めて見せれば、あわやアリウープというジャンプ力でボールをタップし、ネットを揺らす。自慢のジャンプ力に話が及ぶと「国体で挑戦して失敗したダンクを、ウインターカップでは成功させたいです」と笑う。広い視野と図抜けた状況判断で福岡第一を牽引した河村や得点力でチームを支え続けた小川とは違う魅力で、ハーパーが新しい福岡第一を牽引する候補の一人であることは明確だ。最高の先輩たちとプレーできるのも残り数日。ハーパーの成長には、偉大な先輩との残り少ないプレータイムが貴重な糧になることは間違いないだろう。

文=村上成

ウインターカップ2019のバックナンバー

BASKETBALLKING VIDEO