2019.12.29

ウインターカップでも爪痕を残した北陸、インターハイ準優勝に続きベスト4進出

この1年、2年生で唯一の先発として活躍した[写真]=兼子慎一郎
本格的に取材を始めたのが「仙台の奇跡」と称された2004年アテネ五輪アジア予選。その後は女子バスケをメインに中学、高校と取材のフィールドを広げて、精力的に取材活動を行っている。

 11本の3ポイントシュートを沈めてもなお物足りないと思うのは、単に負けたからだけではあるまい。前日沈めた16本があまりにも衝撃的だったからだろう。

「SoftBank ウインターカップ2019 令和元年度 第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の男子準決勝、高校総体2位の北陸高校(福井県)は福岡大学附属大濠(福岡県)と対戦し、69ー99で敗れた。

 試合後、北陸の重野善紀コーチは、直前の試合で福岡第一高校(福岡県)が決勝進出を決めたのを見届けて「なんとしても決勝戦での福岡対決を阻止しなければ」と思ったそうだ。

「福岡対決は九州ブロックでやってほしいですよね。我々も夏に大差で負けて、なんとか夏のリベンジというか、どこまで差が縮まったのか、決勝戦でゲームをしたかったです」

福大大濠戦では約38分間コートに立った[写真]=伊藤 大允

 今年の北陸は3ポイントシュートを1つの武器にしていた。もちろんインサイドに202センチのダンテ・スレイマニ(3年)がいることも大きい。しかし近年よく聞く「期待値」を考えたときに、同じくらいの確率であれば、長い距離の2ポイントよりも3ポイントを選択しようと考えたのだ。

 その担い手が髙橋颯太(3年)であり、米本信也(2年)だった。彼らは期待に応えるように、前日に行われた明成高校(宮城県)との3回戦で髙橋が8本、米本が7本の3ポイントを沈めている。

 しかし福大大濠戦では髙橋が3本、米本が4本に抑えこまれた。重野コーチも「大濠さんがよく研究をされていた」と相手チームのディフェンスを認めざるを得なかった。

「大濠に食らいつく気持ちで臨みましたが、途中で離されてしまったことは本当に悔しいです。でも来年につながるゲームはできたと思います」

 15得点を挙げた2年生のスモールフォワード、米本はそう振り返る。

 準決勝で敗れたが、自分たちの戦い方は決して間違っていない。それを確信する大会だったというわけだ。

 シックスマンとして活躍したシューティングガードの小川翔矢も、ポイントガードの土屋拓大も2年生。米本と合わせた3人が来年の核になるだろう。

司令塔として相手を掻き回す土屋[写真]=兼子慎一郎

「今大会は要所で3ポイントシュートを決められたことは自信になります。でももっとシュートの確率を上げることはできると思いますし、ディフェンスやリバウンド、ボックスアウトなど当たり前のことも徹底したいです」

 米本はそう言って、来年を見据える。

 課題は多いが、それも全国の舞台で“強豪校”と戦ったからこそ見える世界だ。

 夏は船橋市立船橋高校(千葉県)、東海大学付属諏訪高校(長野県)、明成高校(宮城県)、延岡学園(宮崎県)、報徳学園高校(兵庫県)、そして福岡第一と対戦した。今大会でも長崎西高校(長崎県)、八王子学園八王子高校(東京都)、明成、そして福大大濠と濃密な4試合を戦っている。

小川翔矢にもさらなる期待がかかる[写真]=兼子慎一郎

 古豪からの脱却。現代の強豪・北陸となるためには、他の誰でもない、米本ら今の2年生のさらなるステップアップが必要である。

文=三上太

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