2020.02.05

毎日もがきながら成長中、明成のカギを握る大型ガード・越田大翔

192センチでポイントガードを務める越田 [写真]=小永吉陽子
スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者に。国内だけでなく、取材フィールドは海外もカバー。日本代表・Bリーグ・Wリーグ・大学生・高校生・中学生などジャンルを問わずバスケットボールの現場を駆け回る。

「今年、期待している選手は誰か?」と佐藤久夫コーチに尋ねると、真っ先に名前が挙がるのが2年生の越田大翔と加藤陸だ。1年の山﨑一渉が得点源ならば、2年の越田と加藤はチームが上昇するカギを握る選手といえるだろう。東北新人戦ではチーム一のジャンプ力を誇る加藤が足の負傷で休養したため、ここでは192センチのサイズでポイントガードに取り組んでいる越田を紹介したい。

 大型化を図る明成は多くの選手が高校に入ってからポジションをコンバートしている。あえて茨の道を歩んでいるのでは、と思うほどチーム作りは試行錯誤の日々だが、佐藤コーチは信念を持って育成をしている。

 越田はその試行錯誤している選手の筆頭でもある。中学時代からシュートはうまかったが、主にゴール下近辺でプレーしていた。高校から外角のプレーヤーとなり、ポイントガードに抜擢されたのは2年になってから。中学時代に点取り屋だった一戸啓吾と清水晃も高校からポイントガードに取り組み、1年生の菅野ブルースもボールハンドラーを務めることもあり、本職の司令塔である喜多陸登を含め、チーム内はポイントガードの競争が激しい。ボールハンドラーになれる選手は多いが、コンバート組が多いために中途半端なプレーが出ることもあり、ガードの全員がトライ&エラーの繰り返しで学んでいるところだ。

ウインターカップを経て、次のステップへ

昨年のウインターカップで「自分のプレーが見つけられた」という [写真]=小永吉陽子

 その中でも越田は、昨冬のウインターカップで一皮むけたプレーを披露した。ルックアップをして安定したボール運びを見せ、苦しい時間帯に中央突破からのドライブでチームを救った。また、自らリバウンドを取って“コースト・トゥ・コースト”で決めるダイナミックなプレーには高い将来性を感じさせる。

 しかし、東北新人戦の決勝では、能代工がゾーンを仕掛けたときに足が止まって打開できなかった。判断力をつけるため、次のステップを踏む時が来ている。

「これまで全国大会で自分が何もできずに悔しい思いばかりして、すごく悩んだ時期もあったんですけど、2年のウインターカップで少しは自分のプレーが見つけられたんじゃないかと思います。周りを生かせる選手になりたいので、(佐藤)久夫先生に教えてもらったことを頭の中に入れながら、自分で考えながらやっていくことが大事になります」

 挫折と挑戦を繰り返しながらも少しずつ前進していることに佐藤コーチは「継続は力なり」と越田の成長を見ている。得意のドライブを活かした大型ガードに変貌すべく、チャレンジは続く。

文・写真=小永吉陽子

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