4試合で平均25得点…気弱な1年生・古谷早紀が関東新人大会でつけた確かな自信

1年生の古谷は175センチながらコート狭しと駆け回る[写真]=Basketball King

 2月8日に行われた「令和元年度 第30回関東高等学校バスケットボール新人大会」の第2試合で、後に優勝を飾った東京成徳大学高校(東京都)の13番が目に留まった。

 彼女のプレーを初めて目の当たりにした印象は、手足が長い、走れる、スクリナー、シュートはワンハンド、といったところ。大会プログラムの記載によると、身長175センチの1年生ということがわかった。

 その試合ではコンスタントに速攻やオフェンスリバウンドに絡んで得点を挙げている印象だった。だが、試合後にスタッツを確認すると、31得点21リバウンド。千葉英和⾼校(千葉県)相手に23点差で快勝したとはいえ、この数字には大いに驚かされた。

 その後もスターティングファイブに名を連ねた背番号13は、2回戦で20得点9リバウンド、9日の準決勝では23得点12リバウンドと攻守に躍動。そして、全国大会常連校である昭和学院高校(千葉県)との決勝戦でも、自分より身長とフィジカルが勝る相手と互角以上に渡り合い、計27得点9リバウンドをマークした。

インサイドでも体を張ってチームに貢献[写真]=Basketball King

 チームの3年ぶりの優勝に大きく貢献した彼女の名は、古谷早紀。

 優勝を成し遂げたあと、遠香周平コーチに古谷の話を振ると「アハハ」と笑って話し始めた。

「自信がない選手でねー。うちの附属中から来たんだけど(ジュニアオールスターの)東京選抜でも控えだったし、自分からやろうとしない子だったんですよ」

 加えて、まだ体の線が細い古谷を「カトンボみたい」と遠香コーチは冗談交じりに例えたが、「能力がないわけではないです。器用なのでオールラウンドなプレーをしてほしい」と期待を寄せた。

 本人も「いつも先生からは、『弱い弱い』と言われています。気持ちが弱くてそれがプレーに出てしまうんです」と悩みを打ち明ける。しかし、今大会で多くのプレータイムを与えられ、スタッツ面でも結果を残せたことは、古谷を一歩も二歩も成長させたに違いない。

「自分より背が高い相手ばかりでしたけど、そういう時にも気持ちで負けないで、走って点を取ることを意識してやりました。昔から『弱い弱い』と言われていて自分のプレーができなかったけど、この大会から自信がつくようになって点が取れるようになりました」

「これからも自信を持ってプレーしたい」

 そう意気込む古谷の得意なプレーは、「ポストでボールもらってターンシュート。あとはトランジションの時に速攻で1番前を走ること」だ。

本人は「気が弱い」と言うが、積極的にリングへアタックする[写真]=Basketball King

「もっとオフェンスリバウンドにも絡んでいきたいですし、中だけじゃなくて外からドライブで切っていけるような選手になりたいです」

 物静かで、まだあどけなさが残る高校1年生。その一方で、内側には「もっとうまくなりたい」という向上心に満ち溢れている。

文=小沼克年

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