2020.10.29

【ウインターカップ2020】昨冬のリベンジを狙う昭和学院、飛躍のカギはディフェンス面での課題克服

43回目のウインターカップ出場を決めた昭和学院[写真]=小沼克年
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

20点差以上での勝利を目標に挑んだ決勝戦

 これまで42回のウインターカップ出場回数を誇る昭和学院高校(千葉県)。千葉県協会によれば、今回のウインターカップには県協会からの推薦により出場が決まっていたという。今年2月の関東新人大会(令和元年度 第30回関東高等学校バスケットボール新人大会)で昭和学院が準優勝となったこともあり、千葉県女子は、従来の県代表枠に加え、関東ブロック枠で一枠加えられ、2チームが出場権できることとなった。そのため、関東新人大会で結果を出した昭和学院が県協会より推薦されたのだ。
 
 それにより、昭和学院の試合は、優勝を決める千葉県予選の決勝戦のみ。世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るったことにより、チームにとって実に10カ月ぶりの公式戦となった。

“ぶっつけ本番”ともいえる千葉英和高校との優勝決定戦。しかし、昭和学院は立ち上がりから三田七南(3年)を中心に試合を展開し、最終的に31点差をつけて13年連続43回目のウインターカップ出場を決めた。

 オフェンスリバウンドや力強いドライブなど、終始積極的なプレーでチームを盛り立てたのはキャプテンの三田。試合前は「すごく楽しみだったけれど、逆に空回りしないか心配だった」ようだが、「私が思い切りプレーすることで、チームの流れも良くなると思いました。ドライブやオフェンスリバウンドを頑張ったことは評価できると思います」と、自身のプレーを総括した。

 三田とともにチームのインサイドを支えた2年生の花島百香も、「上手くいかないこともありましたが、初戦にしては良かったです。思い切ってプレーできたかなと思います」と、久しぶりの公式戦を振り返った。

 178センチの三田と花島を筆頭に、中村帆香(3年)、西ファトゥマ七南(2年)のガード陣も170センチ台と高さがあり、機動力も兼ね備えている昭和学院。常に全国を見据える強豪校だけに、三田も「『県内で競る=負け』だと思っていますし、英和戦では20点差以上つけるのがノルマでした」と主張する。昨年のウインターカップ県予選決勝では、千葉経済大学附属高校にまさかの敗戦を喫したが、今年は自分たちが課したノルマを達成。この勝利にはチームのキャプテンも胸を撫で下ろした。

「公式戦は気持ちの入れようが違いましたが、全員が変に気負うことなく思い切りプレーしようと心掛けました。全国に向けていい形で終わりたいと思っていたので良かったです」

昭和学院の得点源の一人である2年生の花島百花[写真]=小沼克年

大量得点も、守備に課題を残す

 一方、この試合はオフェンスで計96得点というハイスコアを記録したが、ディフェンスでは課題を残す結果に。「ディフェンスの戻りが遅くなってしまったのが課題です」(中村)、「(ウインターカップでは)ディフェンスの戻りをもっと早くして、簡単にボールを運ばせないようにしたいです」(花島)などど、選手たちが異口同音に悔やんだのは、第2クォーターの出来だ。この10分間は24−18としたものの、「2クォーターでチームの集中力が切れてしまった」(三田)と、相手の強みである速い展開に持ち込まれ、そこから速攻や連続3ポイントで失点した。

 指揮を執る鈴木親光コーチも、試合後はこの場面を真っ先に指摘。「シュートは入っていたのですが、ディフェンスのミスが多かったです。英和さんは速いので、走られないようにディフェンスの戻りを早くするよう指示していましたが、前半走られて3ポイントを決められてしまいました」

 昨年を振り返れば、インターハイとウインターカップともに2試合で大会を終えた昭和学院。「置かれている立場はみんな同じなので、自分たちのできることをしっかりやって1日でも長く東京にいたいですし、特に3年生が悔いのない試合をして笑顔で終われるように頑張りたいです」と、鈴木コーチはやや控えめに本大会を見据えたが、選手たちは「全国制覇」と志は高い。

 今年最初で最後となる全国大会は、チームにとって昨年のリベンジを果たす舞台でもある。三田、花島、中村など昨年からの主力も多くいるだけに、全国のスピードに対応できるディフェンス力が優勝へのカギとなりそうだ。

下級生の頃から主軸を担う中村帆香[写真]=小沼克年

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