2020.11.27

【ウインターカップ2020注目校】仙台大学附属明成(宮城)「大型化2年目の挑戦。個性とチームプレーの融合がカギ」

大型化に挑戦している明成。左から山内ジャヘル流人、山﨑一渉、山内シャリフ和哉、一戸啓吾、加藤陸[写真]=小永吉陽子
スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者に。国内だけでなく、取材フィールドは海外もカバー。日本代表・Bリーグ・Wリーグ・大学生・高校生・中学生などジャンルを問わずバスケットボールの現場を駆け回る。

 12月23日から29日の期間、都内で開催される「SoftBank ウインターカップ2020 令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」。今年度はインターハイ、国体も中止となったため、ウインターカップが最初で最後の全国大会となる。バスケットボールキングでは冬の日本一を決定する大会での注目チームをピックアップし、紹介する。

■ウインターカップ男子注目校(4)仙台大学附属明成高校(宮城県)

 優勝候補の一角であり、大型選手が揃うことから、そのチーム作りに注目が集まるのが仙台大明成だ。ここ数年は八村塁(ワシントン・ウィザーズ)に憧れる者や日本一を目指しての志願者が多く、特にこの2年は長身者がそろった。

 大型化といってもインサイド主体のスタイルではなく、留学生のように強力な2メートル台の選手がいるわけでもない。

「大きい選手が小さい選手のようなプレーができてこその大型化」(佐藤久夫コーチ)をモットーに、将来の可能性を広げるために多くの選手がポジションアップをして、190センチ台の選手が動けて速攻の先陣を走るチームを目指している。

 また、近年はコートに立つ選手たち自身が考えるフリーランスオフェンスを展開しており、スタメンを固定せず、多くの選手にチャンスを与えて競争しながら育成しているため、チーム作りに時間を要している様子がうかがえる。その中でもコンバート組が多いポイントガードの育成はもっとも苦心している点である。どのような選手起用で、どのような連携スタイルになるのか、また今年は公式戦の真剣勝負の場が少ないことからも、大会直前まで試行錯誤が続きそうだ。

 とはいえ、選手層の厚さは注目に値する。外角のシュート力が光る2年生の山﨑一渉と菅野ブルースを筆頭に、様々なタイプの選手が揃う。3年生では192センチでポイントガードを務める越田大翔(3年)は昨年のウインターカップで頭角を現し、コートを走り抜けるドライブが持ち味。早生まれとしてU16代表に名を連ねたフォワードの加藤陸(3年)とポイントガードの一戸啓吾(3年)、志願して沖縄からやってきた山内ジャヘル流人(3年)らも伸びている。また2年生の山崎紀人のハッスルプレーもチームの士気を高めるだろう。

跳躍力はチーム一。シュート確率が上がっている加藤陸[写真]=小永吉陽子

 ポジションをコンバートしながらも個性の芽が出てきているだけに、その個性とチームプレーが融合すれば、これまでにないスケールの大きなチームになる。佐藤コーチは「リバウンドやルーズボールなど球際のプレーを徹底すること」をテーマに掲げており、選手層の厚い3年生たちがいかにリーダーシップを発揮できるかがカギを握るだろう。チームメイトからの信頼の厚いキャプテン浅原紳介(3年)は目標をこのように語る。

「チームのみんながチャレンジ精神を持って戦い、一人一人がリバウンドやルーズボールの粘りを練習から意識して徹底することが大事です。3年生がチームを引っ張って日本一を目指します」

写真・文=小永吉陽子

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