12月23日から29日の期間、都内で開催される「SoftBank ウインターカップ2020 令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」。今年度はインターハイ、国体も中止となったため、ウインターカップが最初で最後の全国大会となる。バスケットボールキングでは冬の日本一を決定する大会での注目チームをピックアップし、紹介する。
■ウインターカップ男子注目校(5)洛南高校(京都府)
今年度のチームが結成されてから、京都府新人戦、近畿高等学校新人戦と同じ府内のライバル東山高校に100点ゲームで敗れた洛南高校だが、ウインターカップ京都府予選ではついに東山に勝利。京都府代表として冬の日本一決定戦にコマを進めることとなった。
11月1日、京都府予選決勝リーグの最終戦、洛南はこの試合のために準備してきたものをすべて発揮した。東山の得点源、センターのムトンボ・ジャン・ピエール(3年)にボールが入れば、マッチアップの淺野ケニー(3年)が優位なポジションを取られまいと体を張ると、周りの選手も足を使ってダブルチーム、トリプルチームでピエールの動きを封じ、14得点に抑えることに成功。ピエールからの外角のシュート陣に対するパスへも各選手がローテーションで対応する足は最後まで衰えなかった。
そして何といっても最後まで落ちなかったのがシュートだ。先発の5人全員が2ケタ得点だったことに加え、全員が3ポイントシュートを沈めた。特にインサイドの淺野と山岸雄介(2年)がピエールを外に引っ張り出したところで決めたシュートは東山に大きなダメージを与えたと言えよう。
試合後、取材に対応した洛南の小川敦也(3年)は「いつも3クォーターに引き離されていたので注意して後半に入りました。崩れそうになってもキャプテンの西村(慶太郎/3年)がみんなを引っ張ってくれました」と、笑顔を隠さなかった。
𠮷田裕司コーチは「ナイスゲーム! よく頑張った。それぞれがプレーヤーとしての責任を果たしてくれた。前半の最後に崩れそうなところがあったが、後半はしっかリ立て直して全員で戦ってくれた」と、手放しに選手を称えた。
オフェンスの中心は京都府予選決勝リーグの東山戦で両チーム最多の25得点をあげた小川。スピードに乗ったドライブ、さらには勝負強い3ポイントシュートを武器とする。加えて、身長190センチのサイズながら中学時代までガードをしていただけにボール運びも難なくこなすオールラウンドプレーヤーだ。
加えてオフェンスでは伝統のパス&ランを司令塔の西村がコントロール。どこからでも点を取るスタイルは健在であり、センター陣も外角からシュートを狙えるのも武器と言える。
さらに東山戦で見せたオフェンスとディフェンスの遂行力からも目が離せない。対戦相手を分析し、それに合わせた準備は怠らない。それを最後までやり続ける集中力と遂行力は東山と戦うことで身につけたものだと言えるだろう。
本番に向けての課題を𠮷田コーチは「連戦となるので、選手層を厚くすること。留学生がいるチームとの戦いでもその対策をしっかりとらなければいけない」と課題をあげた。この京都府予選で見せたパフォーマンスがが東京体育館でも発揮できれば、上位進出、全国制覇も夢ではないはずだ。
文=入江美紀雄