東京にて12月23日から29日の期間で開催される「SoftBank ウインターカップ2020 令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」。今年度はインターハイ、国体も中止となったため、ウインターカップが最初で最後の全国大会となるが、ここで注目を集める選手を紹介する。

■ウインターカップ男子注目選手（5）平松克樹（3年／福岡大学附属大濠高校／福岡県）

　史上初の福岡県対決となった昨年のウインターカップ決勝戦。福岡大学附属大濠高校の平松克樹はスターターのポイントガードとして、そのコートに立った。31分間の出場で10得点3アシスト。2年生ガードとしては、この経験が来年に役立つと思ったはずだ。

　しかし新チームになると、平松はシューティングガードへのコンバートを告げられる。ポイントガードには福岡市立西福岡中学の1年後輩でもある岩下准平が就いた。それでも平松がうつむくことはなく、むしろ前年とは異なるポジションで日本一を目指そうと、チームを引っ張ってきた。

　だが7月末、岩下が大きなケガを負ってしまう。今シーズンの復帰はできそうにない。チームを率いる片峯聡太コーチは平松を再びポイントガードに戻した。

「岩下が抜けたところを埋めるのは自分しかいないと思っていたので、岩下の分もチームを勝たせられるポイントガードにならなければいけないと思いました」と平松。
　
　ポイントガード出身の片峯コーチからすると、以前の平松は声を出せないところに歯がゆさを感じていたという。それも彼をシューティングガードにコンバートさせた理由の一つ。しかし、岩下のケガで再び司令塔の座に戻ってきた平松は、状況を理解し、自ら声を出すようになっていた。片峯コーチもそれを認める。平松自身もまた覚悟を持って、ウインターカップに向かう。

中学時代は日本一を経験したキャリアの持ち主［写真］＝バスケットボールキング

「速い展開の中でどれだけ周りを動かして、コントロールするかが必要になってきます。その中で自分が声を出して、コントロールしなければ、大濠のバスケットは生まれてこない」
　
　岩下の不在はチームにとって痛手だ。だが、そこから生まれてくるものもある。昨年より一皮むけたポイントガードとして、平松は再びウインターカップの頂点を目指す。

文＝三上太