2020.12.19

【大会展望】女子は桜花学園と岐阜女子が一歩リードも、混戦の様相を呈した今大会

本格的に取材を始めたのが「仙台の奇跡」と称された2004年アテネ五輪アジア予選。その後は女子バスケをメインに中学、高校と取材のフィールドを広げて、精力的に取材活動を行っている。

 新型コロナウィルスに苦しめられた2020年。同じ難題に直面しながら、それでも挑み続けてきた高校生たち。全国へと駒を進めた60チームの中で今冬の女王の座に輝くのはどこか。ブロックごとに展望してみたい。

 左上のブロックは前回大会の女王、桜花学園高校(愛知県)が抜け出しそうだ。昨年も主力に名を連ねたポイントガードの江村優有、シューティングガードの前田芽衣、センターのオコンクウォ・スーザン・アマカ(いずれも3年)が残っているのは心強い。周りの選手も順調に成長しており、連覇に向けて大きな死角はない。

 対抗は前回大会ベスト4の大阪薫英女学院高校(大阪府)だが、ともに勝ち上がれば3回戦で桜花学園と対戦する。近年の中ではサイズの面で小さくなるが、キャプテンの安田茉耶(3年)、2年生の宮城楽子、1年生ガード都野七海らが機動力の高いバスケットで勝負を挑む。

 同じく前回大会ベスト4の京都精華学園高校(京都府)もキャプテンの荻田美(3年)を中心に、中学時代から積み重ねてきた結束力で上位進出を狙っている。初戦で対戦する聖和学園高校(宮城県)との試合は注目カードの一つと言っていいだろう。第一シードの開志国際(新潟県)や浜松開誠館(静岡県)ら実力のあるチームがおり、好ゲームが期待できるブロックでもある。

3ポイントシュートを得意とする桜花学園の前田芽衣[写真]=バスケットボールキング

 左下のブロックは前回大会の準優勝、岐阜女子高校(岐阜県)が一歩リードしている。キャプテンの佐藤果歩(3年)はシュート力のあるフォワードで、センターのイベ・エスター・チカンソ(3年)は高さと強さがある。松本新湖(3年)ら得点力のある選手も順調に伸びてきていて、総合力の観点では今年も「打倒・桜花学園」の一番手といえるだろう。

 第4シードに入った東海大学付属福岡高校(福岡県)は内外角のバランスに優れたチームで、発展途上だが198センチのファール・アミナタ(1年)の高さは注目したい。また昭和学院高校(千葉県)も大黒柱の三田七南(3年)と、2年生オールラウンダー花島百香を中心に、主力の選手たちが170センチオーバーという高さがある。八雲学園高校(東京都)、高知中央高校(高知県)も高さとシュート力を兼ね備えており、粘り強さに定評のある県立足羽高校(福井県)もいる。実は一番の激戦ブロックかもしれない。

キャプテンとして岐阜女子を引っ張る佐藤果歩[写真]=バスケットボールキング

 右上のブロックはどのチームにもチャンスがある。ややリードしているのは札幌山の手高校(北海道)と郡山商業高校(福島県)か。

 札幌山の手はリバウンドやルーズボールといった粘りのバスケットで上位進出を狙う。北海道予選でキャプテンを務めた1年生の森岡ほのかに注目したいが、最後は舘山萌菜を中心とした3年生がチームをいかにまとめるかがカギを握るだろう。

 郡山商業は円谷愛加ら前回大会を経験している3年生が残っているのは強みだろう。ただし初戦で戦う大阪桐蔭高校(大阪府)にも昨年から経験を積んできた松川侑里香(3年)がいて、決して侮れない。志村愛莉(3年)を中心に6年ぶりの出場となる千葉英和高校(千葉県)の戦いぶりにも注目したい。

 右下のブロックもすべてのチームにチャンスがある。最注目は精華女子高校(福岡県)と東京成徳大学高校(東京都)との1回戦。齋藤風香(3年)を中心に前回大会のベスト8越えを狙う精華女子に対し、東京成徳大学は関東ブロック新人大会を制した実力校。その勝者と対戦する慶進高校(山口県)も虎視眈々とメインコートを狙っている。江頭璃梨(3年)ら前回大会ベスト8の経験者が残る小林高校(宮崎県)も上位進出の可能性はある。

 聖カタリナ学園高校(愛媛県)はキャプテン片松茉優(3年)を中心に、スピードを生かしたバスケットが今年も健在。そこに西村春佳(3年)の高さも加わり、2年生の山本遙香らも伸びてきていて、ファイナルまで駆け上がることも十分考えられる。

 全体を見ると今年も桜花学園が頭一つ抜け出している感はあるが、組み合わせが予想を難しくさせている。逆に言えば、どのチームにも女王の座に着くチャンスがあるということでもある。「今年の女子は左のブロックに偏っているなぁ」と思うなかれ。右からの強風が一気に頂点まで舞い上がる可能性もある。

文=三上太

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