2020.12.23

松徳学院が得た全国初出場の財産は「日本一の強さを肌で感じたこの経験」

松徳学院の今若羽菜はチームメートを励まし最後まで桜花学園に挑んだ [写真提供]=日本バスケットボール協会
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

 初めてのウインターカップ。その記念すべき初戦は大会初日、東京体育館のAコート第1試合、しかも相手は昨年度覇者で大会通算23回目の優勝を狙う桜花学園高校(愛知県)だ。

 12月23日に開幕した「SoftBankウインターカップ2020 令和2年度第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」にて、大会初出場を果たした島根県女子代表の松徳学院高校。同校は、昨年まで13年連続通算30回の出場を誇った松江商業高校を県予選決勝で下し、この大舞台に踏み入れた。

「組み合わせが決まった時は、『桜花学園さんとやるんだぁ』という気持ちが大きかった」と話すのは、キャプテンを務める今若羽菜(2年)。彼女は172センチのオールラウンダーながら、現在はインサイドを主戦場としている選手だ。「なかなか試合をさせてもらうことができない相手なので、すごく幸せなこと。この試合で多くのことを吸収して帰りたい」。そう意気込んで臨んだ桜花学園との試合は、前半だけでオコンクウォ・スーザン・アマカ(3年)に40得点を決められるなど、最終スコア30-146で大差がついた。

 第1クォーターから順にスコアを並べると、13-38、7-37、6-36、4-35。相手は予選を免除され約10カ月ぶりの公式戦であったものの、女王の貫禄を見せつけられた形となった。それでも、「初のウインターカップでしたし、何か1つ残して帰りたい」(今若)と、松徳学院は最後まで仲間同士で声を掛け合い、諦めずに桜花学園に立ち向かった。

 試合後のミックスゾーン。「なかなか自分たちのプレーをさせてもらえなかったので、今は悔しい気持ちが大きいです」と、今若は目を潤ませた。「個人的にはインサイドで攻めきる力が少ないし、ドライブで相手を抜いても最後のフィニッシュの部分が弱いところが課題。そこを修正してまたリベンジしたいと思います」

「私たちは2年生主体のチームで、まだまだ未熟なところが多いです。個々のディフェンス力をもっと上げて、オフェンスでも一人ひとりが攻め切る気持ちを持って、それをチームとしてうまく組み合わせていきたいです」

 今若が言うように、今大会の松徳学院は1、2年生のみで構成されたチームだ。3年生たちは夏で部活動を引退したという。島根県を制した“若さ”と“勢い”を武器に臨んだ初のウインターカップは、結果だけを見れば「初戦敗退」となる。だが、日本一の強さを肌で感じたこの経験は、選手たちにとって何ものにも代えがたい財産になったはずだ。

 ぜひ胸を張って島根に戻り、また来年、全国の舞台に戻ってきてほしい。

文=小沼克年

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