2020.12.24

京都精華を追い詰めた浜松開誠館。指揮官は「この1年の経験は今後の人生に大きな影響を与える」

京都精華の高さに対してチーム全体で挑んだ浜松開誠館 [写真提供]=日本バスケットボール協会
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 12月24日、「SoftBank ウインターカップ 2020 令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」は2日目を迎え、女子2回戦が行われた。武蔵野のスポーツプラザの第2試合には前回ベスト4進出の京都精華学園高校(京都)に浜松開誠館高校(静岡)が対戦した。

 この試合、京都精華の2人の留学生、トラオレ・セトゥ、イゾジェ・ウチェに対して、浜松開誠館がどのように守るかに注目が集まった。第1クォーターの開始直後に浜松開誠館がリードを奪った後は終始京都精華が先行する展開となる。しかし、浜松開誠館は粘り強いディフェンスとゴール下のスペースを広く使ったオフェンスで点を離されない。

浜松開誠館の山本涼菜(右)はドライブでゴールを目指した [写真提供]=日本バスケットボール協会


 しかし、第3クォーターにじりじりと引き離した京都精華が第4クォーター開始直後にこの試合最大となる18点ものリードを奪った。ところがここから浜松開誠館が粘る。オールコートのディフェンスで京都精華のボール運びを脅かしてミスを誘う。攻めては山本涼菜と樋口沙彩の3ポイントシュートで追撃。残り2分28秒には萩原加奈がジャンプシュートを決めて、2点差まで追い詰めた。

 ただ、京都精華はここで崩れなかった。勝負の場面では荻場美がシュートを沈め、柴田柚菜がブロックショットでゴールを死守。最後は91-84で浜松開誠館を振り切った。

 試合後、メディア対応した浜松開誠館の三島正敬コーチは、狙いどおりの試合運びをしつつも、「留学生のサイズと周りの選手の能力が予想より上回っていた」ことにより誤算があったと明かした。勝負所でハードなディフェンスを仕掛けるために、選手交代を頻繁に行ってスタミナを温存させることもできたが、「せっかくノーマークを作った場面で決めきれなかったシュートもあった」と悔やんだ。

 それでも三島コーチは「最後は負けましたけど、それに至るまでの過程などを考えれば、皆さんの協力があってここまで来れたので、よく最後まで頑張ってくれたなと思います」と評価。

最後まであきらめずに戦った選手たちの称えた三島コーチ(中央)[写真提供]=日本バスケットボール協会


 コロナ禍の中、様々な制限の中で送ることになった今年、三島コーチは「インターハイがなくなったり、学校が休校になったりと今までにない形で取り組んだ1年でした。自分もどう接していいのか、どう声を掛けていいのかをわからない状態になり、生徒も困惑していたと思います。自分は子どもたちとはよく話す方だと思いますが、今年はより腹を割って『こうしてほしい』というようなことを話しかけました」と振り返る。

 そして、「この特別な年にウインターカップを開催してくださったこと、家族など身近な方々に支えてくださってここまで来たので、感謝の気持ちや諦めずにコツコツとやってきたことを生徒がひしひしと感じていると思うので、それは今後の人生に大きな影響を与えると思います。彼女たちは今後の人生の方が長いので、これを糧に次のカテゴリーや人生に活かしてくれれば、(指導者として)最低限の繋ぎはできたかなと。最後は負けましたけど、それに至るまでの過程などを考えれば、皆さんの協力があってここまで来れたので、よく最後まで頑張ってくれたなと思います」と選手たちを称えるとともに将来への希望を託した。

文=入江美紀雄

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