2020.12.25

壁は打ち破れなかったが昨年よりも成長が感じられた大阪薫英女学院・佐藤双羽

桜花学園との戦いは高さへお挑戦でもある。大阪薫英女学院の佐藤双羽の挑戦は続く [写真提供]=日本バスケットボール協会
本格的に取材を始めたのが「仙台の奇跡」と称された2004年アテネ五輪アジア予選。その後は女子バスケをメインに中学、高校と取材のフィールドを広げて、精力的に取材活動を行っている。

 手応えがなかったわけではない。前回大会でも、わずかではあるが“彼女”とマッチアップしている。そのときは強さに圧倒されて、押し込まれるだけだったが、今年は違う。結果として42得点17リバウンドを取られて、ゲームにも敗れるのだが、自らの成長を少しは感じることができた。

 前回大会の準決勝と同じカードになった「SoftBank ウインターカップ2020 令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の女子3回戦、大阪薫英女学院(大阪)と桜花学園(愛知)の一戦は、桜花学園が91-54で大阪薫英女学院を下し、準々決勝進出を決めた。大阪薫英女学院はまたも“女王”の壁を打ち破れなかった。

 今年度の大阪薫英女学院はここ数年ではサイズが小さい。センターを務める佐藤双羽も176センチである。大阪府内では大きい方だが、全国に出れば、やはり小さい。しかも桜花学園には冒頭に記した“彼女”、オコンクウォ・スーザン・アマカという186センチの留学生がいる。佐藤にとっては彼女をどう抑えるかが、この試合の一番のテーマだった。

「中に入れさせたら留学生のほうが強いし、大きいので、やられてしまう。だから、まずはペイントエリアの外に押し出して、止めようと思いました。前半はそこがクリアできて、アマカさんも嫌がっていたのでよかったと思います。でもリバウンドのところで、チームでは『ティップアウトをして、周りがそのボールを取ろう』と話していたんですけど、ボックスアウトが甘くて、全部上で獲られて、シュートも決められてしまいまいた……そこはこれからの課題です」

 佐藤が「これからの」と言ったのは、彼女がまだ2年生だからである。もちろん敗れた今は悔しい思いに覆われているが、来年は佐藤が大阪薫英女学院の大黒柱にならなければならない。

「大阪では自分のほうが大きいところがあって、インサイドで強いプレーをし続けることができたんですけど、全国でアマカさんのような留学生とやってみると、インサイドで強いプレーができないこともあります。これからはインサイドだけでなく、アウトサイドシュートやドライブも磨いて、中と外を効率よく攻められるようにして、来年またここに戻ってきたいです」

 3年生のアマカはいなくなるが、彼女とコンビを組んでいた朝比奈あずさは来年も残る。ベンチにもライバルになりそうな選手たちが座っている。桜花学園だけではない。全国には有望なセンター、高さと強さを持つ留学生もいる。それらの壁をどう乗り越えていくか。佐藤のさらなる成長は、大阪薫英女学院が全国で上位を目指す上で欠かせない。

2年生の佐藤(右)にとって来年も朝比奈(左)をはじめとする桜花学園のメンバーとのマッチアップが待っている [写真提供]=日本バスケットボール協会


文=三上太

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