2020.12.30

【ウインターカップ優勝チーム紹介】黒いユニフォームで挑んで日本一。仙台大明成の優勝メンバーを紹介

3年ぶり6回目の優勝を飾った仙台大明成のチームと主力選手を紹介 [写真提供]=日本バスケットボール協会
スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者に。国内だけでなく、取材フィールドは海外もカバー。日本代表・Bリーグ・Wリーグ・大学生・高校生・中学生などジャンルを問わずバスケットボールの現場を駆け回る。

主力2人がケガをするアクシデントも層の厚さで乗り切った

時間をかけて常に多くの選手にチャンスを与えて育ててきた佐藤久夫コーチ [写真提供]=日本バスケットボール協会

 3年ぶり6度目の優勝を飾った仙台大学附属明成高校(ブロック推薦/宮城)。優勝に貢献した主力選手とチーム背景を紹介しよう。

 ここ2年の明成は190センチ台の選手が揃う大型チームを目指していた。「大型化といっても、大きい選手が小さい選手がやれるプレーができなければ意味はない」(佐藤コーチ)とのモットーのもと、サイズがあって機動力がある選手を育成している。

 本来であれば、3年のフォワード加藤陸(192センチ/3年)と2年生ガードの菅野ブルース(197センチ/2年、ともにU16代表)がローテーション入りするはずだったが、11月に菅野が膝を負傷し、12月には加藤が右手の人差し指を骨折するアクシデントに見舞われた。2人とも3ポイントの確率が高く、ブロックやリバウンドに跳ぶ跳躍力を持ち「チームに安定感をもたらす選手」(佐藤コーチ)であるため、2人の不在は大きな戦力ダウンだった。

 そんな状況下でも対応できたのは、時間をかけて常に多くの選手にチャンスを与えて育ててきたからだ。ベンチにはリーダーシップのある喜多陸登、アグレッシブなディフェンスが光る清水晃、フォワードの河合海輝ら(いずれも3年)が控えており、選手層の厚さが武器でもあった。

黒いユニフォーム全国大会デビュー秘話

決勝戦でも黒のユニフォームをまとい勝利をつかんだ [写真提供]=日本バスケットボール協会

 今大会はユニフォームの色をスクールカラーのエンジから黒に変えて臨んでいる。佐藤コーチによれば「新しく変わっていく明成高校のイメージ」とのことで、大型化をして日本一を目指すとの誓いのメッセージでもあったのだ。仙台高校時代も赤から黒に変えて連覇をした経緯があり、佐藤コーチにとって黒はゲンがいい色でもある。

 実は、黒ユニは昨年からチーム内の試合では着用しており、黒ユニを着たほうが勝利していた。佐藤コーチは昨年度の卒業生を送る会にて、新チーム(現2、3年)に向けて「来年は勝ちグセのついた黒いユニフォームで頑張ろう。全国大会決勝で先輩たちに応援してもらえるチームになろう」と檄を飛ばしていたのだ。今大会はその予言(?)どおり、第2シードになったことで、全試合濃色(黒)を着用することになったのは運命だったのだろうか。決勝の応援席には、たくさんのOBが駆け付け、黒ユニを着てプレーする後輩たちに声援を送っていたことを付け加えておこう。

明成の主力選手紹介

個性的なメンバーが互いをカバーしつつ成長していった[写真提供]=日本バスケットボール協会

5 一戸啓吾(183センチ/PG/津軽中出身)

スピードと得点力、運動量あるディフェンスでハッスルするポイントガード。中学時代は点取り屋で高校からポイントガードにコンバートしたため、判断ミスが多々あることが課題で、準決勝まではターンオーバーが多かった。だが、最後の決勝では安定したボール運びと持ち味の得点力がよみがえって優勝に貢献。11月あたりから勝負所のシュートを決める力を発揮してスタメンを勝ち取った経緯があり、最後の最後で意地を見せた選手だ。

7 越田大翔(192センチ/PG/北見北中出身)

大型化を図る中で佐藤久夫コーチがいちばん手をかけて育てた選手。中学時代はセンターを務めていたが、1年のウインターカップ終了後よりポイントガードに抜擢。自信を持って積極的にプレーするまでには相当の時間を要したが、得意のドライブとプッシュすることを出せるようになってから、ガードとして生きる道をつかんだ。今回は一戸との2ガード体制で臨み、ミスマッチを生かしてのポストアップやリバウンド、広い守備範囲などマルチなプレーで貢献。準決勝はチーム一となる24得点、決勝は得意のドライブと2連続バスカンで流れを引き寄せた。決勝の終盤には無念のファウルアウトとなるが、ベンチに戻ったときに佐藤コーチから“グータッチ”でたたえられた。負傷欠場した相棒の加藤に対し「自分がやる」と静かなる闘志を燃やしていた姿が印象的だ。

8 山﨑一渉(199センチ/SF/松戸一中出身)

「最後は一渉が決めてほしい」と佐藤コーチから託された2年生エース。八村塁と同じくアフリカにルーツを持ち、背番号8を背負うことから“八村二世”と騒がれるが、佐藤コーチは八村とはタイプも性格も違う山﨑を二世にしたいとは思っていない。山﨑の個性を生かし、アウトサイドを主体に内外角の使い分けができるように育てている。優しい性格ゆえに消極的になることが課題だったが、決勝のラストシュートを決め切ったことに「絶対に入れなきゃいけないシュートを決められるようになったことがうれしい」と指揮官はその成長を認めた。「来年もブルース(菅野)と紀人(山崎)とともに日本一を目指します」と誓う。

10 山内ジャヘル琉人(190センチ/SG/那覇中出身)

高い身体能力と意外性のあるプレーが魅力のシューター。リバウンドやブロックショットも得意。決勝ではシュートを打ち続けたことで、第4クォーター終盤に3ポイントやスティールを連発するビッグプレーを披露。流れを一気に引き寄せた殊勲選手だ。中学時代に明成バスケ部に憧れるも全国的には無名だったため、自身で明成高校宛てに手紙を書いて入部許可をアピールしたというエピソードを持つ。「自分はこんなことができます。明成に入ったら絶対に貢献します。将来活躍する選手になりたいので鍛えてください。という内容の手紙を書きました」と本人談。迷いから自分のプレーを見失っていた時期もあったが、手紙を書いてまで明成でプレーしたかったその熱意で成長を遂げ、歴代のエースやシューターが背負ってきた『明成の10番』にふさわしいプレーで優勝に貢献した。

11 浅原紳介(190センチ/PF/田舎館中出身)

自分の思いを言葉にして伝えられる選手であり、その人望の厚さからキャプテンとしてチームをまとめてきた。練習やゲームでは「私の指示が聞こえなくなるほど、浅原がベンチでしゃべっている」と佐藤コーチが言うほどの声の大きさでチームを盛り上げてきた。プレーではハイポスト近辺のシュートが得意で、ボール運びの中継、リバウンドなど、つなぎのプレーを確実にやり遂げた。コロナ禍で大変な状況の中、何度もミーティングを重ねては意志統率を図り、試合に出る2年生たちを常に激励してきたチームリーダーだ。

14 山崎紀人(195センチ/PF/東北学院中出身)

優勝しての第一声は「去年の3年生と今年の3年生に恩返しができた…かな」だった。1年次よりスタメンに抜擢されていたが、これまでは仕事が果たせなかったという反省から、今大会は自覚を持って臨んでいたのだ。オフェンスではミドルシュートが武器で速攻に走り、味方を生かすパスも得意。本来はハッスルして声を出す選手だが、今大会は3試合連続で留学生を相手に体を張っていたこともあり、そこまでの余裕はなかった。3年生となる来年は冷静さとハッスルプレーの両方が求められるだろう。

17 山内シャリフ和哉(193センチ/C/佐織西中出身)

控えセンターとしてインパクトを残す活躍を見せた。特に福岡第一高校(福岡)戦では留学生のキエキエ・トピー・アリのファウルが混んだことにより、持ち前のパワフルさを生かしてインサイドアタックをして、流れを引き寄せた。「チーム一のパワーを持つムードメーカー。自分の得意なことを必要な時間帯にできる選手になってほしい」という佐藤コーチの期待とおり、貴重なベンチメンバーとして優勝に貢献。

文=小永吉陽子

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