2021.06.09

冷静沈着、指揮官も期待する八王子学園八王子の管野希一…経験を積み日本一のPGへ

八王子学園八王子のポイントガードとして成長中の管野希一[写真]=小沼克年
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

 今年の八王子学園八王子高校(東京都)は2年生主体のチームだ。もちろん3年生も試合に出場するが、石川淳一コーチは「頑張ってくれているけれど、つなぎ役になってもらっています」と話す。

 3戦全勝で終えた「令和3年度 関東高等学校男子バスケットボール大会 第75回関東高等学校男子バスケットボール選手権大会」では3人の2年生が先発を担い、ベンチからも北見凛太郎、粟田光(ともに2年)らがコートに立った。

 そのような中、チームのメインガードを務めるのは174センチの管野希一(2年)。声を張り上げて仲間を鼓舞するタイプではないものの、冷静沈着にゲームコントロールし、準決勝の正智深谷高校(埼玉県)との試合では15得点を挙げる活躍も披露した。石川コーチによれば、「素直だし、努力家だし、勉強もできる」とのことだ。

 先発ポイントガードとしてプレーする上で、管野は「まだまだミスばかりなので、ターンオーバーを少なくすることを心がけています」と口にする。しかし今大会、3試合平均30分ほどのプレータイムの中で管野が犯したターンオーバーはわずか「1」。堅実にボールを運び、フロアバランスを整えてチームに安定感をもたらした管野は、2回戦の土浦日本大学高校(茨城県)戦では大仕事をやってのけた。

 終始接戦となった一戦は、第4クォーター残りわずかの場面で72−72。延長戦に突入するか否かの最後の攻撃、管野は残り3.4秒に決勝点となるジャンプショットを沈めてチームを勝利へ導いた。

 勝負強さを発揮したこの場面について、「途中まで全然いいプレーができていなかったんですけど、先生が『成長のためにこのまま使う』と言ってくれました。それで最後は自分に任せてもらって、打った瞬間決まったと思いました」と管野。

 一方の石川コーチも、「(試合開始から)ずっと良くなかったんですよ。でも、3クォーターが終わったときに言ったのが、『成長するためには代えないよ』って。それで最後はいい花咲かせてくれました」と起用に応えた背番号6を評価した。

「3年間で全国1位を取りたいというお話をいただいて、監督からも声をかけてもらいました。自分が少しでも力になれたらなと思い八王子に来ました」

 管野は岩手県の花巻市立花巻中学校から、東京の地でバスケをすることを選んだ。「あの子は今、いろいろと勉強しなきゃいけない時期」という言葉からも、石川コーチが管野へ寄せる期待の大きさが垣間見える。

「まだチームを上手くまとめられないですけど、そこは『経験』だと言われて、常に高いレベルでやらせてもらっています」と、現在の環境に感謝を述べた管野。

八王子学園八王子での高校生活を経て、一体どんな選手へと進化するのだろうか——。

取材・文=小沼克年

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