2021.06.14

苦しみながらも決勝戦を勝利した中部大学第一が東海大会優勝を果たす

体を張ったプレーでチームをけん引した中部大学第一の田中[写真]=山田智子
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 三重県にて行われた「第68回東海高等学校総合体育大会」(6月12~13日)は、2年ぶりの開催となり、男子は中部大学第一高校(愛知県)が優勝を飾った。

 中部大一は、初戦となる2回戦で美濃加茂高校(岐阜県)と対戦。90-63で勝利すると、続く浜松開誠館(静岡県)との準決勝では田中流嘉洲(3年)のリバウンドシュートなど高さで圧倒し(99-63)、決勝へと駒を進めた。

 その決勝で対戦したのは準決勝で高山西高校との“岐阜対決”を制した富田高校。富田は、エースの高橋快成(3年)を軸に総合力で勝負するチームだが、中部大一と比べると高さや攻撃力では劣ってしまう。そのため、決勝では「自分たちのオフェンスを長くすることで中部大一がディフェンスをしている時間帯を長くする」(村田竜一コーチ)という作戦に出る。

 それが功を奏し、ゆっくりしたペースで試合を進めると第1クォーターは20-20の同点。第2クォーターでも終盤こそ福田健人(3年)の速攻などで中部大一に連続得点を許したが、32-37とビハインドを僅か5点に留め、富田が中部大一を自分たちのペースへと引きずり込んだ。

 逆に前半は本来の走力を生かした速い展開から得点を奪うスタイルを出せなかった中部大一。しかし我慢の時間を超えると、第3クォーター中盤からは坂本康成(2年)や福田の3ポイントシュートで得点を連取。12点リードで迎えた第4クォーターでは富田の追い上げに遭いながらも、インサイドで強さを発揮した田中の活躍もあり、最後は77-60で富田を振り切った。

「これだけシュートが入らない試合もなかったですね」と、試合後に語ったのは中部大一の常田コーチ。優勝という結果にも、決勝の内容については納得のいくものではなかったようだ。

 だが、「(コロナ禍で)練習試合もできない中、公式戦を最後までやれたというのは大きいです。良い時のバスケットをすれば強いというのは当たり前のことで、今日のように最後まで思うようにいかない試合も経験できました」と、3試合を通して良い経験も悪い経験もできたことがチームにとってはプラスになると捉えていた。
 
 そもそも、高さと機動力を備える中部大一は、今夏の優勝候補の呼び声も高いチーム。だが、インターハイ県予選でガードの下山瑛司(2年)が負傷し、戦線離脱となってしまった。

 そのため、今大会では「実際一週間もなかった」という準備期間の中、数名のガード選手を起用して臨んだ。その中で様々な課題や気付きを発見ができたことは、チームにとって良い材料となるだろう。今後はガードポジションを中心に模索しながら夏に向けて強いチーム作り上げていく予定だ。

富田の高橋は得点力の高いガード[写真]=山田智子

 一方、敗れた富田の村田コーチは、「失点に関しては、各クォーター20点というプラン通りでした。ただ、自分たちのシュートの精度が悪かった」と冷静に試合を振り返る。

 それでも、初の準優勝には「負けたのであまりうれしいと言ってはいけないのですが、今年の選手たちは“初めて”を全部塗り替えてくれています。インターハイ(の出場)や東海大会はベスト4にも残ったことがなくて、それがステップアップして決勝まで来た。そこは褒めてあげてもいいと思っています」と笑顔を見せた。

 だが、インターハイでさらなる飛躍を目指すため、「今回は自分たちの良さを消しながら相手の良さを消したので、同じ戦い方をしたら中部大一さんのようなチームは、次は同じことをさせてはくれません。インターハイに向けては地力をつけることを目標にやっていきたいです」と抱負を語っていた。

東海大会を優勝した中部大学第一[写真]=山田智子

写真=山田智子
取材・文=田島早苗

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