2021.07.14

インターハイ男子注目校(1)福岡大学附属大濠(福岡)「選手層の厚さを武器に頂点を目指す」

福大大濠のエースである湧川はオールラウンドなプレーでチームを盛り立てる[写真]=三上太
本格的に取材を始めたのが「仙台の奇跡」と称された2004年アテネ五輪アジア予選。その後は女子バスケをメインに中学、高校と取材のフィールドを広げて、精力的に取材活動を行っている。

 7月25日から30日にかけて新潟県で行われる「令和3年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」。2年ぶりとなった夏の祭典に向け、バスケットボールキングでは大会で見るべき注目のチームをピックアップした。

■男子注目チーム(1)福岡大学附属大濠(福岡県)

 インターハイ出場回数が今夏で40回目となる福岡大学附属大濠高校(福岡県)。バスケットファンには名の知れた強豪校だけに「40」という数字に驚きはないかもしれないが、一方で今回の出場が3年ぶりと聞くと反応は異なる。2年前は福岡県予選で福岡第一高校に敗れ、昨年はコロナ禍によりインターハイが中止。つまり今年度の選手たちにとっては初めてのインターハイ出場なのである。

 盛夏の全国大会をどう戦うか。彼らにとっては未知のチャレンジだが、同校の片峯聡太コーチは組み合わせに「巡り合わせがある」と話す。それは、ともに勝ち上がれば3回戦で対戦の可能性がある実践学園高校(東京都)のことで、「西福岡中学校出身と玉島北中学校出身の選手にとっては、中学の全国大会(第48回全国中学校バスケットボール大会・山口県開催)で敗れた実践学園中学の選手たちとの再戦があるかもしれない」(片峯コーチ)からだ。加えて、「洛南高校(京都府)は春に試合をしたとき、リードをしながら最後にやられたという経験があります。つまり彼らにとってモチベーションが上がる相手が近くにいるので、いい具合に『やってやろうぜ』という気持ちで臨めそうです」と指揮官は言う。

 とはいえ、チームの中心であるポイントガードの岩下准平(3年)と、注目ルーキーで201センチの川島悠翔(1年)が、ラトビアで行われていた「FIBA U19 ワールドカップ2021」に出場。帰国後の隔離期間を経なければならないため、インターハイは途中からの合流となる。

「彼らとは約40日間一緒に練習をしていないので、戻ってきてすぐにゲームに入ってもチームが崩れる可能性があります。岩下は3年生なのでメンバーに入れるつもりではいますが、怪我から復帰して数カ月ですので慎重に判断しなければいけません。川島に関してはコンディションを見てからの判断になるでしょう。もちろん出せると判断したら、2人には見えるところをとことんやってこいと送り出すつもりでいます」(片峯コーチ)

献身的なプレーを見せる3年生の針間[写真]=三上太

 そんな状況にあっても今年の福大大濠は上位に進出できるだけの力を備えている。2年生エースの湧川颯斗は193センチのオールラウンダーで、ミスマッチを突くインサイドプレーもできればアウトサイドから豪快なドライブもできる。また福岡県予選ではベンチスタートだった針間大知(3年)は高い身体能力を生かした1対1があり、昨年からスタメンに名を連ねる泉登翔(3年)もアウトサイドからのシュートでエースをサポートする。2年生センターの副島成翔は、留学生を相手にしても体を張って戦うことができ、ポイントガードの本山遼樹(3年)は岩下とは異なる個性で役割を担う。彼らの力で突破していき、そこに岩下、川島が加入すれば、勢いづくことは間違いない。

「岩下と川島がいない分、オフェンス力は少し下がりますが、今いるメンバーがそれぞれ得意なことを軸にしながら、仲間のいいところを尊重するチームワークができつつあります。シュートが入らないときでも、自信を持ってディフェンスを遂行するような練習できています」と片峯コーチ。サイズのあるタレント集団が、その個性を存分に発揮し、それを一つのチームとして昇華したとき、選手たちにとって初めてのインターハイは、4年ぶりの優勝にもつながっていくだろう。

写真・文=三上太

インターハイ2021のバックナンバー

BASKETBALLKING VIDEO