2021.07.17

インターハイ男子注目校(4)中部大学第一(愛知)「新たなメンバー編成で夏に挑む」

オールラウンドなプレーを見せる3年生の福田健人[写真]=山田智子
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

 7月25日から30日にかけて新潟県で行われる「令和3年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」。2年ぶりとなった夏の祭典に向け、バスケットボールキングでは大会で見るべき注目のチームをピックアップした。

■男子注目チーム(4)中部大学第一(愛知県)

 6月12、13日に行われた「第68回東海高等学校総合体育大会」は、中部大学第一高校(愛知県)にとって、かけがえのない“経験”の場となった。

 今年の中部大学第一は、オールラウンダーとして下級生の頃から得点源を担ってきた福田健人(3年)に195センチで体の強さが持ち味の田中流嘉洲(3年)、またセンターでは昨年からスターターを務める208センチのアブドゥレイ トラオレ(3年)にドリブルも得意とするアンケリ ジョージ(2年/199センチ)と、高い得点力を持つ選手がそろう。3月末に行われた交歓大会、「第56回全国高等学校交歓バスケットボール京都大会」では全国の強豪を相手に全勝で優勝。今夏の優勝候補に躍り出た。

 だが、チームは5月末から行われたインターハイ県予選の最終日にポイントガードの下山瑛司(2年)がケガを負ってしまう。インターハイ出場も厳しいケガとなり、県大会から1週間後に行われた東海大会では急遽、下山抜きのチーム作りを余儀なくされた。

 そういったチーム事情の中で迎えた同大会、決勝まで危なげなく勝ち上がったが、富田高校(岐阜県)との決勝では第1クォーターを同点。後半に突き放したものの「これだけシュートが入らない試合もないですね」と試合後の常田健コーチの表情は曇っていた。

 それでも、「いろんなタイプのチームがいるので、『こういうときにはこういうメンバーで戦えば負けない』といったような戦いをしました」と、苦しみながらも底力を発揮してつかんだ優勝。また、その結果以上にコロナ禍により公式戦はもとより、練習試合もできない中で「たくさんゲームをできたことは大きい」(常田コーチ)と、実戦での“経験”を積むことができたのはチームにとって大きなプラスとなった。

「当たり前ではありますが、良いときのバスケットをすれば強いということは感じました。でも、なかなか最後まで思い通りにはいかなくて…」と常田コーチ。東海大会では初戦となった2回戦の美濃加茂高校(岐阜県)との試合を「ベストゲーム」としながらも先に挙げたように決勝では快心の勝利とはいかず。

「“前評判が高い”などと言ってもらっていますが、今日(決勝)みたいな試合をすることもある。(決勝は)相手がどうこうではなく、自分たちのやりたいバスケットをやれなかった」と常田コーチは反省点を口にした。

 とはいえ、何度も言うように、ブロック大会が中止となっている地域もある中、各県の代表と対戦した3試合は、経験値を上げるにはまたとない機会であった。主軸の司令塔を欠いて新たなメンバー編成で挑むインターハイ。「コンビネーションと公式戦の中でもう少し冷静にできるか」と指揮官は、夏本番への課題を挙げながら、決意を新たにしていた。

チーム力を高めてインターハイへ向かう中部大学第一[写真]=山田智子

写真=山田智子
取材・文=田島早苗

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