2021.07.28

福大大濠の“14番”・湧川颯斗が背負うエースとしての責任

エースとしての働きが期待される福大大濠の湧川[写真]=伊藤 大允
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

 湧川颯斗。今年、福岡大学附属大濠高校(福岡県)のエースナンバー『14』を背負う2年生だ。

 193センチのオールラウンダーは、東海大学付属諏訪高校(長野県)との「令和3年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」男子準々決勝で21得点。ここまでの3試合すべてで20得点以上をマークしている。

 東海大諏訪戦ではチームでただ1人、勝敗が決するまで交代せずにコートに立ち続け、この日のプレータイムは39分10秒。35点差で快勝した3回戦(対津工業/三重県)でも約23分、能代科学技術高校(秋田県)との初戦では31分間プレーした。

 片峯聡太コーチは、湧川をコートに立たせ続ける理由をこう語る。

「彼には『40分間の中でどう自分を作っていくか』という課題を与えて頑張らせています。多少疲れが溜まってきてるとは思うのですが、彼が14番をつけているのにはしっかりと意味があるので、これからも頑張ってもらいたいです」

 この言葉に対し、「チームに流れを持ってくるのが自分の仕事だと思っています」と湧川。準々決勝での個人の出来については、「最初にゴール下を落としてしまって、3ポイントシュートも決められなかったのでしっかり決め切らなきゃいけないです」と反省したが、インサイドや速攻から得点を重ね、「針間(大知/3年)や湧川がしっかりとブレイクに絡んでくれた」と片峯コーチも一定の評価を与えた。

 今日の準々決勝から、シティホールプラザ アオーレ長岡は、2面仕様から1面の“メインコート”に切り替わった。それと同時に、福大大濠には「FIBA U19 ワールドカップ2021」に出場し、帰国後の隔離期間を終えた岩下准平(3年)と川島悠翔(1年)が合流。両選手はさっそく試合にも出場した。

「准平さんがいると安心感が違います」と、湧川も頼れる先輩の復帰を喜ぶ。この試合では、岩下の意表を突いたパスに合わせて得点する場面もあったが、これには「『アシストしてくれたら絶対に決めるので』と准平さんに言っていました」と、試合前にやり取りがあったようだ。

 199センチの大物ルーキー・川島の加入も、湧川にとって良い刺激になっている。

 川島については「練習中からマッチアップすることが多いですし、これからもお互いを高め合える関係を築けるようにやっていきたい」と口にし、「負けたくないという気持ちは常に持っています。練習後によく1対1をするんですけど、まだ負けたことないです」と湧川は、少し自慢げに話した。

 明日の準決勝は中部大学第一高校(愛知県)との対戦が決まった。あと2試合。福大大濠の背番号14に油断などさらさらない。どんな相手でも、自らの仕事を全うするだけだ。

「簡単に勝てる相手ではないので険しい道のりになるかもしれませんが、一つひとつのプレーに責任感を持って臨みたいです」

準決勝でも湧川のプレーに注目だ[写真]=伊藤 大允

写真=伊藤 大允
取材・文=小沼克年

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