2021.08.11

札幌山の手に昨冬のリベンジはならずも、3年生の意地を見せた大阪桐蔭の寺岡美祈

3ポイントシュートを要所で沈めてチームを引っ張った寺岡[写真]=三上太
本格的に取材を始めたのが「仙台の奇跡」と称された2004年アテネ五輪アジア予選。その後は女子バスケをメインに中学、高校と取材のフィールドを広げて、精力的に取材活動を行っている。

 どちらも鍛え上げられた、素晴らしいチーム同士の2回戦は、高さと強さで勝る札幌山の手高校(北海道)に軍配が上がった。わずか2点届かなかったのは大阪桐蔭(大阪)である。

「令和3年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」の2日目、前日の1回戦を39失点というディフェンス力で勝ち上がった大阪桐蔭と第3シードの枠に入り、今日が初戦となった札幌山の手のゲームは、70-72で試合終了のブザーを聞くこととなった。

「悔しいという気持ちが一番大きいです」

 試合後にそう語ってくれたのは、大阪桐蔭のポイントガード・寺岡美祈(3年)である。彼女は昨年度のチームでもスターターとして起用され、ウインターカップでの準々決勝では札幌山の手と対戦している。

 その試合では札幌山の手の舘山萌菜(白鷗大学1年/U19女子日本代表として現在、U19女子ワールドカップに参戦中)に48得点、今回のインターハイにも出場している森岡ほのか(2年)にも35得点を取られるなど、84-100で敗れている。

「そのリベンジという気持ちでゲームに入ったのですが、リベンジできなかったのですごく悔しいです」と寺岡。今日の試合でも森岡には31得点12リバウンド6アシストを奪われている。

 ただ、寺岡が「最後まで必死で、あきらめずに食らいつけたのはよかったと思いました」と振り返るように、大阪桐蔭の第4クォーターの怒とうの反撃は見事だった。16点のビハインドから始まったそのクォーターで大阪桐蔭は25点を挙げている(札幌山の手は11得点)。圧巻だったのは寺岡の3本の3ポイントシュートだ。一気に流れを呼び込み、札幌山の手の選手たちを慌てさせたのである。

「前半は周りに任せてばかりで、積極的に攻めることができていませんでした。後半に入って、点差が離れたときに『このまま終わったら後悔する。やりきろう』と思って、気持ちで打ちました」

 下級生が多く試合に出ている今年の大阪桐蔭にあって、寺岡は数少ない3年生の主力メンバー。追い上げの3ポイントシュートは3年生としての意地もあったと認める。

「今年は3年生が頼りないと、これまでの練習でもずっと言われてきました。やはり2年生にばかり任せていては、彼女たちも精神的にしんどいと思ったので、自分がゲームキャプテンとしてやるべきかなと思っていました」

 昨年は3年生がチームを引っ張っていただけに、彼女もまた、そうした“3年生”になれるように頑張りたいと思って、インターハイに臨んでいた。結果的にこの夏、寺岡は自らが思い描く“3年生”になることはできなかったが、冬にもう一度リベンジすると強く語っている。

 ただし、現状の大阪府のウインターカップ出場枠は1つ。大阪薫英女学院高校の今大会での結果次第ではあるが、仮に彼女たちがその争いに加われば、間違いなく「大阪冬の陣」は今年も激しくなるはずだ。

大阪桐蔭の寺岡は、夏の敗戦を糧にウインターカップ出場を目指す[写真]=三上太

「今年の大阪桐蔭はサイズもないし、チームプレーをしないと勝てないと思います。ポイントガードとして、一人ひとりが100%の力を出し切れるように、課題の状況判断をしっかり克服していきたいと思います」

 敗れてもなお、目指すべき道があり、その道には大きな壁もある。だからこそ寺岡は自らを奮い立たせて、冬に向かう。

取材・文・写真=三上太

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