2021.08.13

インターハイ2021女子準決勝の見どころ「2試合ともに“東海対近畿”の顔ぶれに」

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 8月13日、新潟県新潟市で開催中の「令和3年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」は、女子準々決勝が行われ、岐阜女子高校(岐阜県)、大阪薫英女学院高校(大阪府)、桜花学園高校(愛知県)、京都精華学園高校(京都府)の4チームが準決勝へとコマを進めた。

ガードのマッチアップも注目の岐阜女子と大阪薫英

 岐阜女子と大阪薫英は、2年前の前回大会でも準決勝で対戦。このときは73-63と10点差で岐阜女子が勝利している。

 今大会、2回戦から登場した岐阜女子は、その2回戦で鎮西学院高校(長崎県)、3回戦では八雲学園高校(東京都)、そして準々決勝で地元の開志国際高校(新潟県)に対し、危なげない戦いで勝利し、準決勝進出を決めた。100点ゲームや大量リードこそないものの、10~20点のリードをキープしながら試合を進める上手さと安定感がある。

 その一番の要因がディフェンスで、準々決勝では開志国際の得点を40点に抑えている。

 加えて、強さのあるセンターのアググア チカ チュクウ(3年)と、ドライブなどで得点するガードの藤澤夢叶(3年)の2人の働きも指揮を執る安江満夫コーチは理由の一つに挙げた。

「相手のアジャストをきちんとやること。ディフェンスは鍛えてきたので、それで勝負するという方向性は間違えないようにしたいです」と安江コーチ。準決勝に向けても「我々の戦い方をちゃんとするだけです」と静かに語った。

 対する大阪薫英は、1回戦で龍谷富山高校(富山県)に快勝すると、2回戦で四国チャンピオンの高知中央高校(高知県)、3回戦では有力校の昭和学院高校(千葉県)と実力チームを撃破。その原動力となっているのが都野七海(2年)と宮城楽子(3年)で、2人ともスピードに乗ったドライブで相手ディフェンスを翻弄する。

 ほかにも献身的なプレーをするインサイドの佐藤双羽(3年)がコツコツと点を重ね、また1年生ながらスターターを務める島袋椛も華麗なステップインなどで加勢。3ポイントシュートを武器とする熊谷のどか(2年)の存在も大きい。

「3年生がここにきてしっかりしてきました。それと都野が落ち着いてやれているのも大きいです」と安藤香織コーチはここまでの戦いを振り返るとともに選手の成長も感じているよう。

 準決勝の岐阜女子戦では藤澤とアググア チカ チュクウを警戒するプレーヤーに挙げ、「2人を止めながら、しっかり走り回って、40分で1点勝てれば。挑戦します」と抱負を語った。

桜花学園と京都精華学園はリバウンドがカギを握る

 準決勝、もう一つのカードは前回覇者の桜花学園と近畿チャンピオンの京都精華との対戦となった。

 桜花学園は、高さと強さとうまさのあるセンター・朝比奈あずさ(3年)が絶対的エース。加えて、アウトサイドではシュート力のある3年生・平下結貴にドライブが特長の伊波美空(3年)や横山智那美(2年)らがそろい、森美麗(2年)は朝比奈とともにインサイドを主戦場として奮闘している。

 1回戦から3回戦まで大勝。準々決勝の聖カタリナ学園(愛媛県)戦でもロケットダッシュに成功し100-45と大差を付けた。

「思っていたより点差が離れました。選手のモチベーションも(6月の東海大会で)岐阜女子高校に負けてから上がってきているし、3ポイントシュートも入りだしました。ディフェンスも厳しくやっていると思います」と、井上コーチはここまでの戦いを振り返る。

 準決勝の相手は高さのある留学生2人を擁する京都精華学園。それだけに、「リバウンドの強さがあるので、セカンドチャンスを与えないように」と井上コーチは試合のポイントにリバウンドを挙げた。

 一方の京都精華学園は、初戦となる2回戦で96得点、3回戦では110得点と大量得点で勝ち上がってきた。注目の一戦となった明星学園高校(東京都)との準々決勝では互いに留学生センターを擁する中、接戦の展開にも、最後は第4クォーターで明星学園を突き放した(76-60)。

 この試合、イゾジェ ウチェ(2年)が体を張ったプレーで相手センターのファウルを誘い、また攻めてはウチェ以外の3選手も2桁得点とバランスよい攻撃で相手を苦しめた。

 試合後、山本綱義コーチは、「苦しかったです」と試合を振り返ったが、それでも、「堀内(桜花/1年)のボールキープと瀬川心暖(3年)がキャプテンとしてプレーでも引っ張って、まとめてくれた」と試合のポイントを語った。さらには「ディフェンスで我慢できていることが成長につながっています」ともコメントした。

 明日の準決勝はいよいよ桜花学園と対戦。「選手の判断力を養ってきたので、それを信じたいし、楽しみです」と山本コーチは言う。今年は留学生2人を擁し、高さで桜花学園に負けない布陣だが、それでも、「女王ですから、しがみつかないと」と明日に向けて気持ちを新たにしていた。

写真=伊藤 大允
取材・文=田島早苗

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